今あなたにうたいたい

今あなたにうたいたい － 和田アキ子に捧げる歌

「今あなたにうたいたい－和田アキ子に捧げる歌－」は、1988年にリリースされた和田アキ子の楽曲で、作詞・作曲は加藤登紀子が手掛け、編曲を馬飼野康二が行いました。この楽曲は、和田アキ子のデビューから20周年を記念して作られたもので、加藤の親友としての思いが込められた逸品です。

この曲は、同年の8月25日に発売されたアルバム『Only Yesterday』に収録されています。加藤登紀子は、夢の中で和田アキ子がこの曲を歌っている姿を見てインスパイアを受け、楽曲を創り上げたと話しています。この背後には、深い友情と共感が見え隠れしています。

和田アキ子はデモテープを初めて聞いた際、歌詞の重圧に驚いたと語っています。その後、彼女はこの曲を歌うたび、人生の苦労や試練を思い出し、涙を流すこともあると言います。彼女にとってこれは非常に個人的で特別な楽曲であり、自身の離婚や子宮癌の手術など辛い経験が思い起こされるのです。

和田はこの曲をコンサートやディナーショーの際にラストナンバーとして歌い上げてきました。彼女にとって「今あなたにうたいたい」は格別な存在であり、その歌声には観客への深い感謝の気持ちが込められています。しかし、彼女は「この歌は、コンサートに来てくれたファンへの感謝の気持ちでありたい」とも述べています。

興味深いことに、この楽曲はシングルとしてリリースされたことがなく、これまでにカップリングとして収録されたり、ベストアルバムに収められたりはしたものの、シングルのA面曲としては世に出なかったのです。

初めてこの曲がテレビで披露されたのは、1998年の『第49回NHK紅白歌合戦』でした。和田アキ子は自身初の紅白の大トリを務め、そのパフォーマンスは多くの観客を魅了しました。特に彼女がハンドマイクを外して歌うスタイルは、観客からの大きな拍手を呼びました。紅白のリハーサルはかなり厳重に行われ、和田のスタッフを除いては他の者はそのスタイルが分からないままでした。そのため、観客の拍手を正しく拾うための特別なマイクが使用されたというエピソードがあります。

しばらくの間、和田はこの曲をテレビで歌う機会はなかったものの、2007年のNHK放送『歌謡チャリティーコンサート』で再び歌い上げました。その際もマイクなしでの歌唱が大きな話題となり、観客の応援が鳴り響きました。

和田アキ子は「ファンに生の歌声を届けたい」という思いから、空マイクで歌唱するスタイルを選んでいます。本来、公演では曲の初めから終わりまでマイクなしで歌っており、その際には大きな肺活量が求められると言います。

この曲のラストナンバーは、過去は『あの鐘を鳴らすのはあなた』と併用していましたが、現在は「今あなたにうたいたい」に一本化されています。このように、和田アキ子にとってこの楽曲は、改めて歌い続ける価値のある愛する一曲なのです。

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