今井泉

今井泉の人生と作品について

今井泉（いまい いずみ）は1935年6月5日、高知県高知市に生まれた日本の小説家です。彼の作家としてのキャリアは、まず国鉄に勤務し、特に船舶業務の経験を積むことから始まりました。1958年に神戸商船大学航海科を卒業した後、同年に国鉄に入社。青函連絡船で航海士としての業務に従事し、1970年には船長に昇進しました。また、1981年からは宇高連絡船に移り、こちらでも船長や航路監督として活躍しました。

勤務時間の合間を縫って執筆活動を行っていた今井は、1977年に函館市民文芸賞、続いて1978年と1979年には国鉄文芸年度賞を受賞し、彼の文筆活動の評価を高めます。1980年には『二等航海士石川達雄』を発表し、小説家としての地位を確立しました。この作品は、彼の航海にまつわる深い知見が色濃く反映されおり、今井の才能を示す重要な作品となりました。

さらに1984年には『死の海図』が香川菊池寛賞を受賞し、彼の小説はますます注目を集めることになります。そして、1988年4月には宇高航路連絡船の廃止を受けてJRを退職し、その後は全力で執筆活動に専念しました。彼は、1984年に刊行された『溟い海峡』や1993年の『ガラスの墓標』で直木賞候補にも名を連ね、作家としての活動が続きました。

1991年には『碇泊なき海図』がサントリーミステリー大賞読者賞を受賞し、彼の作品は多くの読者に支持されました。これらの受賞歴は、今井の作品が幅広いジャンルで評価されていることを示しています。

彼が残した著作は以下の通りです：

• - 『二等航海士石川達雄』成山堂書店 1980年
• - 『溟い海峡』（『ガラスの墓標』文藝春秋、1993年に収録）
• - 『道連れ』（『ガラスの墓標』文藝春秋、1993年に収録）
• - 『碇泊（とまり）なき海図』文芸春秋 1991年
• - 『碧（みどり）の遺稿』文芸春秋 1992年
• - 『島模様』（『ガラスの墓標』文藝春秋、1993年に収録）
• - 『ガラスの墓標』文藝春秋、1993年
• - 『もう一つの記憶』祥伝社、1994年
• - 『死の海図』祥伝社 1995年
• - 『迷走航路』潮出版社 1995年
• - 「小説の周辺」（『海洋（海洋会）』778号 1992年8月 pp. 2-3）

今井泉は、2013年3月7日、肺炎のため香川県高松市の病院にて77歳で亡くなりました。彼の作品には、彼自身の航海経験が色濃く反映されており、読者に冒険と感動を提供し続けています。今井泉の文学的貢献は、日本の小説界において重要な位置を占めており、彼の作品は今もなお多くの人々に愛されています。

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