今川仮名目録

今川仮名目録

今川仮名目録（いまがわかなもくろく）は、戦国時代の駿河国において、今川氏が制定した重要な分国法です。この法律は、東国における最古のものであり、地域における法的基盤を築く役割を果たしました。

大永6年（1526年）4月、当時の当主である今川氏親は、全33条からなる家法「仮名目録」を発表しました。この法律の策定当時、氏親は病を抱えており、彼の妻で後の寿桂尼の意向がくみ取られた政策文書とも言えます。彼女は嫡子である今川氏輝の後継を望んでおり、このことが政権の安定を強く促す要因となりました。

また、天文22年（1553年）2月には今川義元が「仮名目録追加21条」を制定し、法の補訂を行いました。これにより、今川氏の立場が一層強化されただけでなく、武田氏が制定した「甲州法度次第」（1547年）にも影響を与えることとなりました。

今川氏は、幕府の指示を待っている間にも遠江国に進出しており、この時期に守護大名から戦国大名へと変わる時代の流れが見えてきました。特に「今川仮名目録」の成立は、彼らの名実ともに戦国大名としての存在を強調する出来事とされています。この法典の中の「追加21条」では、室町幕府により求められていた守護不入を否定し、完全に守護大名としての色合いを払拭することに成功しました。

法律の内容自体は、権力の誇示というよりは、土地に関する訴訟の裁定基準を定めることを目的としていました。つまり、地域の人々が土地に関する争いを解決するための法的枠組みを示したものであり、今川氏の領土支配を明確化する役割を果たしました。

今川仮名目録は、今川氏が戦国時代における政治・社会的な影響力を高めるために制定した重要な法律であり、地域における法体系の確立に寄与しました。この法典の成立は、当時の地域社会の状況や、武士階級の権力構造を映し出す貴重な資料でもあります。

関連項目

• - 中世法: 日本の中世における法体系全般についての情報。
• - 今川記: 今川氏に関する歴史的な記録や文書。

今川仮名目録は、近世日本の法制度の発展を理解する上で欠かせない資料であり、その影響は今後の分国法にまで及ぶこととなるため、戦国時代における重要な歴史的な事象と言えるでしょう。

もう一度検索