今年の新語

今年の新語：辞書編集者が選ぶ、未来に残る言葉

「今年の新語」は、三省堂が毎年開催する、その年を代表する言葉を選定する企画です。単なる流行語ではなく、将来の辞書に掲載される可能性のある言葉を選び、言語文化への理解を深めることを目的としています。

選定の背景と歴史

この企画は、2014年に三省堂の辞書編集者である飯間浩明氏が個人ウェブサイトとTwitterで始めた「今年からの新語」企画に端を発します。大きな反響を受け、翌2015年から三省堂が主催する公式企画へと発展しました。

選考基準：流行を超えた、普遍性と独自性

選考にあたっては、その年に生まれた言葉に限定せず、その年に広く普及し、今後長く使われ続ける可能性のある言葉が重視されます。単なる流行にとどまらず、辞書に掲載するに値する、普遍性と独自性を兼ね備えた言葉を選ぶことが重要です。

特に、同時期に開催されている「ユーキャン新語・流行語大賞」とは異なる独自の視点からの選定を心がけています。流行の言葉を取り上げつつも、辞書編纂者の視点から、言語の未来を見据えた選考が行われています。

選考対象となる言葉

選考対象となる言葉は多岐に渡ります。公式サイトでは、過去に選出された言葉などを参考に、以下の様な例が示されています。

その年に特に広まった言葉: その年の出来事と密接に関連した言葉や、社会現象を反映する言葉などが含まれます。誕生した年に関わらず、その年に広く認知され、使用された言葉が対象となります。（例：「尊い」「寄せる」「ブラックアウト」）
日常会話でよく使われるようになった言葉: 日常生活、SNSなど、私たちの身近なコミュニケーションの中で頻繁に使用されるようになった言葉が対象となります。（例：「ばえる」「モヤる」「肉肉しい」）
流行語や時事用語、新しい文物: 社会的な話題となった言葉や、新しい技術、製品、文化などに関連した言葉も対象です。（例：「VTuber」「マイクロプラスチック」「スーパー台風」）

選考結果と発表

毎年、上位10語と選外作品が発表されます。上位10語には、三省堂が発行する国語辞典各スタイルに合わせた語釈が添えられ、選外作品については、選考委員会による選評とともに、不採用理由が公開されます。選外作品には、大きな話題を集めたものの、辞書に掲載するには不適切と判断された言葉も含まれます。

これまでの「今年の新語」と選外作品

「今年の新語」は2014年から毎年発表されています。2014年は飯間浩明氏の個人企画としてスタートし、2015年から三省堂主催の公式企画となりました。以下に、過去数年の選外作品を例として挙げます。これらは、その年の社会情勢や流行を反映する言葉であり、選考基準や過程を知る上で貴重な資料となります。

2015年 選外: とりま、エンブレム
2016年 選外: 神ってる、チャレンジ、IoT
2017年 選外: 卍、プレミアムフライデー、熱盛
2018年 選外: そだねー、半端ないって
2019年 選外: タピる、ワンチーム　特別賞：令和
2020年 選外（コロナ枠）: ソーシャルディスタンス、ステイホーム、クラスター、アマビエ、ロックダウン、手指消毒
2021年 選外: じゃないほう、鼻マスク、黙食
2022年 選外: 平成レトロ、Y2K
2023年 選外: オーバーツーリズム、蛙化現象、グローバルサウス、生成AI、近しい
* 2024年 選外: 界隈、裏金、アニマルウェルフェア

まとめ：言語文化への貢献

「今年の新語」は、単なる流行語のランキングではなく、辞書編集者の専門的な視点から選ばれた言葉を通して、その年の社会状況や人々の意識を反映し、言語文化への理解を深める上で貴重な機会となっています。将来の辞書に掲載される可能性のある言葉を選定し、その理由を丁寧に解説することで、言葉の持つ意味や背景を深く考えるきっかけを提供しています。今後も、この企画を通して、言語文化の発展に貢献していくことが期待されます。

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