今日のソ連邦

『今日のソ連邦』は、1958年（昭和33年）から1991年（平成3年）にかけて、駐日ソビエト社会主義共和国連邦大使館広報部が日本人向けに刊行していた月刊の広報誌です。発行元は東京都に拠点を置く新時代社でした。

1958年に創刊号が発行され、1989年9月までは月に2回刊行されていましたが、1991年1月に通算751号をもって休刊となりました。この雑誌は、東西冷戦という時代背景の中で、鉄のカーテンの向こう側に位置するソ連に関する情報を得るための、数少ない貴重な手段の一つでした。

この雑誌の最も重要な特徴は、ソ連の公式な立場からの情報提供、つまり広報・プロパガンダ誌としての側面を持っている点です。しかしながら、その内容には、ロシア、ウクライナ、ベラルーシ、ウズベキスタンなど、ソ連を構成する各民族や地域の文化、社会に関する情報も含まれていました。当時の日ソ関係を考慮すると、これらの情報は日本国内では容易に入手できない貴重なものでした。

さらに、『今日のソ連邦』は、ソ連における超科学研究の成果を宣伝する役割も担っていました。そのため、超常現象や地球外生命体との交信といった、一般的には入手困難な情報も取り上げられていました。このように、多岐にわたるテーマを網羅していたことが、この雑誌の魅力の一つでした。

『今日のソ連邦』は、大阪万博やつくば科学万博などのソ連館でも配布され、多くの人々にソ連の情報を伝える役割を果たしました。また、映画監督の金子修介氏が、自身が日本共産党員であった両親がこの雑誌を購読していたと証言していることから、当時の日本におけるソ連への関心と、この雑誌の影響力の大きさをうかがい知ることができます。

ソビエト連邦の崩壊とともに、この雑誌もその役割を終え、廃刊となりました。

関連情報として、プロパガンダという観点から考察することも可能です。

この雑誌は、当時のソ連の社会や文化、科学技術に関する情報を日本に伝える上で、重要な役割を果たしたと言えるでしょう。

もう一度検索