仏印進駐

仏印進駐

仏印進駐（ふついんしんちゅう）とは、第二次世界大戦における日本軍によるフランス領インドシナへの軍事進駐を指します。具体的には、北部仏印進駐と南部仏印進駐に分かれ、1940年と1941年の2段階で実施されました。この進駐は、日仏協約が実質的に無効化される結果を招き、加えて南部仏印進駐では日米関係の決定的な悪化をもたらすことになりました。

背景

日本とフランスの関係は、日露戦争後に強化されましたが、フランス領インドシナでの民族主義的活動を警戒されていました。日中戦争が始まると、フランス領インドシナからの軍事援助が重要な「援蔣ルート」として機能しましたが、日本はそれを遮断する動きを強めました。1939年の時点で、日本は再度フランスに対し国境線の封鎖と補給の要求を行いましたが、拒否される状況が続きました。これにより、日本の軍事的行動が徐々に緊迫していくことになります。

北部仏印進駐

1940年5月、ドイツがフランスに軍事侵攻すると、日本のフランスに対する戦略が再考されました。日本側はフランス政府に対し、武器や弾薬の輸出禁止を通告されると、急速に進駐の準備を進めました。ここでの重要な人物は、日本の陸軍とフランス総督との交渉を担当した土橋勇逸少将です。交渉は平和的に行われるべきとされていましたが、フランス側の態度に不信感を持つ日本側は次第に武力進駐の準備へとシフトしていきました。

9月3日、フランス側が交渉の進展を拒否すると、日本は最後通告を突きつけ、フランスが最終的に折れる形で進駐を承認します。このプロセスの中で、最終的には武力進駐に至ってしまいますが、これは日本の当初の軍事計画からの逸脱を意味しました。

南部仏印進駐とその影響

北部仏印進駐の後、日米関係は急速に悪化していきました。1940年の南部仏印進駐の計画は、日本政府によって正式に承認された際、フランスの承諾を受けることができましたが、その一方で米英からの強い反発を招くことになります。特にアメリカのハル国務長官は、日本による進駐を強く非難し、経済制裁を発表しました。これは日本にとって深刻な打撃となりました。

進駐の直接の影響として、日本は南部仏印の資源を掌握することになり、アジア内での勢力を拡大しました。しかし、これに対する米英の制裁の強化は、先進国との対立を激化させる結果を招くことになります。日米間の関係はますます緊張し、日本は対処を迫られました。

軍事協力と経済協力

一方で、フランス側も日本との協力を模索しました。軍事面では日仏の共同警備体制が保たれ、経済面においても日本への貿易が日本にとっての主要な収入源になりました。ことに、日本はフランス領インドシナからの資源を重視し、その貿易は両者にとって重要な関係を築く土台となりました。

結論

仏印進駐は、戦争の進展と共に泥沼化する国際情勢において、日本がフランス領インドシナに強行した軍事行動であり、その結果はただ単に日フランス関係に限らず、日米や日英における外交環境にも大きな影響を与えました。最終的にはこの進駐が、第二次世界大戦による日本の運命を大きく左右することになったのです。

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