仙台 - 佐沼線

仙台 - 佐沼線：宮城県を結ぶ高速バスの軌跡

仙台市と登米市迫町佐沼を結ぶ高速バス路線「仙台 - 佐沼線」は、地域住民の生活を支える重要な交通手段として、2004年の運行開始以来、その役割を担ってきました。本稿では、路線の歴史、運行状況、そしてその背景にある様々な要因を詳細に解説します。

歴史：運行開始から現在まで

以前は、宮城交通が佐沼高校、古川を経由する急行便を運行していましたが、乗客減少により廃止されました。その後、仙台 - 気仙沼間の特急バスが設定されましたが、経路変更により仙台と佐沼を直結するバスは存在しませんでした。鉄道を利用するには、佐沼から新田駅や瀬峰駅までバスや自家用車での移動が必要であり、利便性に欠けていました。

この状況を打破するため、2004年5月、東日本急行が「仙台 - 佐沼線」を開設しました。当初は、仙台宮城ICから築館IC間を高速道路経由で運行し、新田を経由して迫町役場までノンストップでした。東日本急行単独運行で、佐沼での夜間滞泊は、縣北整備（旧仙北鉄道関連会社）で行われていました。

2005年1月にはダイヤ改正が行われ、栗原市若柳を経由し若柳金成ICから高速道路を利用する経路に変更されました。同時に、宮交登米バス（現ミヤコーバス）が参入し共同運行を開始。東日本急行の佐沼での夜間滞泊は廃止され、日中の休憩場所も宮交登米バス本社に変更されました。また、一部便が迫町役場から新田サンクチュアリセンターまで延長されましたが、この区間は後に廃止されています。

路線名に「佐沼」を使用した理由は、登米市内に「登米（とよま）」があり混同を避けるため、また「迫」という旧町名と混同する可能性や、広域地名としての「佐沼」の認知度が高いことによるものです。

その後、2007年には増便と運賃改定が行われ、2010年には利用者数50万人を突破するなど、仙台と登米市（佐沼）を直結する重要な交通機関としての地位を確立しました。東日本大震災後も運行再開に努め、更なる利便性向上を目指した運行経路の変更や停留所の増設などが行われてきました。近年は、新型コロナウイルス感染症の影響による減便や、運賃改定、運行経路の変更などが繰り返されています。

運行状況

現在、東日本急行とミヤコーバスが共同運行し、1日12往復（各社6往復）運行されています。運行経路は、仙台駅前を出発し、東北自動車道を経由して若柳金成IC、若柳くりでん資料館前、若柳総合支所前などを経由して登米市役所前まで運行されています。

運賃

運賃は、仙台 - 登米市役所前間が大人片道1600円、仙台 - 若柳間が大人片道1500円です。回数券も販売されており、利用者の利便性を高めています。

まとめ

「仙台 - 佐沼線」は、地域住民の生活に密着した重要な交通手段であり、その歴史は、利用者のニーズに応えるべく、柔軟に変化してきたことを示しています。今後も、地域社会の活性化に貢献していくことが期待されます。 今後の課題としては、人口減少や高齢化といった社会情勢の変化に対応しつつ、持続可能な運行体制の構築が挙げられます。

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