仙台師管区

仙台師管区とは

仙台師管区（せんだいしかんく）は、第二次世界大戦末期の1945年4月1日に、日本陸軍が本土防衛体制の強化と効率的な軍事行政を目的に全国を区分して設けた「師管区」の一つです。戦局の悪化に伴い、地域ごとの防衛準備と徴兵・補充業務を一体的に管理するため、従来の師管制度を再編して導入されました。これは1945年1月22日に公布・施行された軍令に基づき、同年4月1日から施行された新たな枠組みでした。

管轄区域と位置づけ

仙台師管区の管轄区域は、現在の宮城県、山形県、福島県の東北地方南部の三県でした。これは、それまで存在した「仙台師管」の区域（宮城県、福島県、新潟県）から新潟県を除外し、新たに山形県を組み入れて再編成されたものです。

上位の組織としては、東北地方全体を管轄する東北軍管区の下に置かれました。東北軍管区には、仙台師管区の他に、主に青森県、岩手県、秋田県を管轄する弘前師管区があり、両師管区が東北地方の軍事行政と防衛を分担しました。

役割と任務

師管区の主な役割は、管轄区域における軍事行政全般と地域防衛の実施でした。具体的には、以下のような任務を担いました。

徴兵・補充: 管轄区域内の壮年男子に対する徴兵検査、入営手続き、新兵訓練を行い、陸軍部隊への兵員を供給しました。戦地などで損耗した人員の補充も担当しました。
地域防衛: 管轄区域における敵の上陸や侵攻に備えた防衛計画の策定、陣地構築の指導、地域の防衛体制構築などを行いました。本土決戦が現実味を帯びる中で、地域防衛の重要性は高まっていました。
その他軍事行政: 軍事物資の調達・管理、軍事施設の維持、兵役に関する諸手続きなど、広範な軍事行政業務を担いました。

師管区は、陸軍の兵員確保と地域防衛の基盤となる重要な単位でした。

組織

仙台師管区には、その司令部として仙台師管区司令部が置かれました。この司令部は、師管区の全般的な指揮・統制を担い、前身である仙台師管を管轄していた留守第2師団司令部の施設を引き継ぎ改称されたものです。

また、徴兵や地域防衛の実務部隊として仙台師管区部隊が編成されました。部隊編成にあたっては、留守師団の補充隊は一度解散され、師管区部隊の所属として新たに補充隊が組織されました。

師管区の管轄区域は、さらに細分化され、仙台連隊区、山形連隊区、福島連隊区の三つの連隊区が置かれました。これらの連隊区は、師管区の指揮の下、徴兵の実務や兵役関連の手続きを担当しました。

主な幹部

仙台師管区司令部の主要な幹部（1945年4月1日以降）は以下の通りです。

師管区司令官: 高木義人 予備役中将 （1945年4月1日 - 12月1日）
師管区参謀長: 岡本政継 大佐 （1945年4月1日 - ）
師管区兵務部長: 小野賢三郎 予備役少将 （1945年3月31日 - ）

廃止

第二次世界大戦の日本の敗戦後も、仙台師管区は直ちには廃止されず、しばらく存続しました。占領軍の指揮下で武装解除や復員に関する業務を担ったと考えられます。最終的に、陸軍の解体に伴いその存在意義を失い、1946年3月31日をもって他の師管区と共に廃止されました。これにより、日本陸軍の地域管轄組織としての仙台師管区の歴史に幕が下ろされました。

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