仙酔島

仙酔島（せんすいじま）

仙酔島は、福山市の美しい鞆の浦に位置する、周囲約6キロの無人島です。この島は1934年に日本で初めて指定された国立公園である瀬戸内海国立公園の一部で、国名勝に指定されている鞆公園の一部でもあります。その別名として「亀の島」とも知られています。

地理と歴史

仙酔島は古代から潮待ちの港として栄え、隣接する弁天島と共に非常に象徴的な存在です。島の地質は約9000万年前の火山活動によって形成された溶結凝灰岩から成り立っています。この独特な地質は非常に貴重で、島の自然の美しさを際立たせています。

また、対岸には江戸時代に朝鮮通信使のための迎賓館として使われた福禅寺対潮楼があります。この場所を訪れた李邦彦は、そこから見える仙酔島や弁天島の優れた景観に感銘を受け、「日東第一形勝」と称賛したと言われています。この仙酔島の名称自体も、「仙人でさえ酔ってしまうほど美しい島」という意味を持ちます。また、島内には日本唯一の五色岩があります。

南側の田ノ浦海岸から彦浦海岸へ至る遊歩道は、2004年に発生した台風による崩落で大部分が通行止めとなりましたが、2010年に修復工事が完了しました。

特色

天皇や皇族たちは、明治以降も仙酔島を何度も訪れるほど、その景観の美しさを愛してきました。また、仙酔島は瀬戸内海国立公園内で最初に指定されたエリアであり、1939年には郵便切手のデザインになりました。島の中央にそびえる弥山の山頂近くの遊歩道からは、瀬戸内海特有の島々の美しい景観や時折、中国地方最高峰の伯耆大山を眺めることもできます。

江戸時代には、宮島の鳥居のように設置された海上に浮かぶ紅い鳥居が存在していたとの伝説もあります。「山紫水明」という言葉は、江戸時代の学者頼山陽が、この地を「対仙酔楼」と名付けたことが由来とされています。彼はここを「山紫水明の処」と称し、その文書は今も残っています。

生活情報

島内には電柱による電気供給があり、ガスはプロパンガスが利用されています。また、上水道は鞆の浦から地下で供給されています。

施設について

現在、仙酔島にはいくつかの宿泊施設とキャンプ場が存在しており、全て福山市に本社を持つ感謝グループが運営しています。主な施設には次のものがあります：

• - 仙酔島キャンプ場
• - 仙酔島海水浴場（田ノ浦海岸）
• - 遊歩道
• - 人生感が変わる宿「ここから」
• - 美人風呂（海水イオン蒸気風呂）
• - 鞆テレビ中継局（NHK広島放送局等の中継局）

なお、国民宿舎仙酔島は2021年に閉館しました。

交通アクセス

仙酔島へは、福山市営渡船が運航しており、鞆町鞆（鞆の浦）から島へは約5分の所要時間でアクセスできます。美しい自然と歴史の息づくこの島は、訪れる人々に特別な体験を提供しています。

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