令制

令制とは

令制（りょうせい）とは、古代日本の律令制度を構成する要素の一つであり、律令のうち、行政法としての役割を担った「令」に基づいて運用された諸制度の総称です。具体的には、律令によって定められた官職の体系、地方行政単位である国（令制国）の制度、公文書の書式などが令制に含まれます。

令制の成立

日本における令制は、8世紀に制定・施行された大宝令（701年）や養老令（718年公布、757年施行）といった法令に基づいて確立されました。これらの令は、唐の律令制度を参考にしながら、日本の実情に合わせて修正されたものであり、中央集権的な国家体制を確立するための基盤となりました。

令制の内容

令制は、多岐にわたる分野を網羅していました。主な内容としては、以下のようなものが挙げられます。

官制: 中央政府における各官司の組織や職掌、官位制度などが定められました。これにより、官僚機構が整備され、国家運営の効率化が図られました。
地方行政: 国、郡、里といった地方行政単位の区分や、それぞれの役割、地方官の任命などが定められました。地方における統治体制が確立され、中央政府の権力が地方にまで及ぶようになりました。
税制: 租、庸、調といった税の種類や徴収方法が定められました。これにより、国家財政が安定し、様々な事業を行うための資金が確保されました。
軍事: 兵制や軍団の組織、兵士の訓練などが定められました。国防体制が強化され、国家の安全が保障されました。
刑罰: 刑罰の種類や量刑基準が定められました。社会秩序が維持され、犯罪の抑止につながりました。
文書: 公文書の書式や手続きが定められました。行政文書の信頼性が高まり、円滑な情報伝達が可能になりました。

令制の影響

令制は、古代日本の政治、経済、社会に大きな影響を与えました。中央集権的な国家体制が確立され、律令国家としての基礎が築かれました。また、官僚制度の整備や税制の確立により、国家運営が安定し、文化や学問の発展にもつながりました。

しかし、令制は、時代とともに変化し、形骸化していく側面もありました。特に、荘園の増加や武士の台頭により、律令国家体制は徐々に崩壊し、中世社会へと移行していきました。

参考文献

利光三津夫 『律令及び令制の研究』明治書院、1959年。doi:10.11501/2995910。
利光三津夫『律令制とその周辺』慶応義塾大学法学研究会、1967年。doi:10.11501/2996014。
利光三津夫『日本古代政治史』慶応通信、1977年。doi:10.11501/12239878。
利光三津夫『日本古代法制史』慶応通信、1986年。doi:10.11501/11932129。

関連項目

律令
律令制
大宝[[律令]]
養老律令

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