仮符号

仮符号とは

仮符号（かりふごう、provisional designation）とは、主に新たに発見された太陽系の天体に一時的に付けられる名称のことです。この仮符号は、信頼性のある軌道が計算されるまでの間に使用されます。実際には、仮符号が与えられた後、正式な登録番号が付与され正式名称が決定されるまでの過程が関与しています。

小惑星の仮符号

小惑星の仮符号の仕組みは1925年に確立されました。その後、発見数が増加するにつれ、命名規則も改訂が行われています。仮符号は、発見年に続けて2つのラテンアルファベットと数字が組み合わさって形成されます。具体的には、最初のアルファベットは発見された半月の前半または後半を示し、次のアルファベットと数字は、その半月内での発見順を表しています。

例えば、1950年の3月後半に発見された第8の小惑星は「1950 FH」という仮符号が付けられます。最近の技術の進展により、半月内で25個以上の新発見が行われることが一般的になり、26番目以降に発見された場合は、数字が添えられた形式（例：2001 A1）で表記されます。このような命名が行われる背景には、発見者による自由な命名が行えない場合も多いという現状があります。

具体例

例えば、2004年には1月1日に最初の小惑星が発見され「2004 AA」という仮符号が与えられ、その後の小惑星は「2004 ZZ」まで続きます。続けて最初の結果が生まれ、最終的に「2004 AA276」となり、1月後半には「2004 BA」が付与されました。また、2003年に発見されたセドナという天体には「2003 VB12」という仮符号がつけられ、これはその年の302番目の小惑星であることを示しています。

掃天観測と特殊な仮符号

数回の特別な掃天観測の中では、通常の仮符号とは異なる形式の仮符号が用いられることがあります。これらの特別な観測によって発見された小惑星には、「P-L」（パロマー・ライデンサーベイ）や「T-1」「T-2」などの符号が名付けられます。

歴史的な経緯

仮符号の発展は19世紀にさかのぼります。当初は記号が割り当てられていましたが、小惑星が数十個にも達するとこの方法は非効率だと判断され、新たに番号による記述法へと移行しました。最初の仮符号が1911年に導入された後、規則がさらに整備されました。

今の仮符号システム

現在の仮符号システムでは、発見年と発見時期を表す2文字のアルファベットが組み合わされ、これにより新たに発見される小惑星や天体の区分が行われています。

彗星とその仮符号

彗星については1995年以前のシステムが複雑でしたが、現在では小惑星の仮符号と似た形式が使用されるようになりました。発見年に続く英字と順序番号で構成される形式です。分裂した彗星の破片には、同じ仮符号に対しA、B、Cなどの添字が付けられ、効率的な命名が行なわれます。

衛星の仮符号

衛星の発見には「S/2000 J 11」などの形式が使われ、自然の衛星であることが示されています。仮符号は発見年に続いて母天体の識別子、そして発見順を示す数字で構成されます。

結論

仮符号は新体が正式な名前を持つ前の一時的な呼称として非常に重要な役割を果たします。このシステムは小惑星、彗星、そして衛星において一貫して利用されており、天文学の発展に寄与しています。

もう一度検索