仲谷進

仲谷 進

日本特殊メイク界の先駆者と教育者

仲谷進（なかたに すすむ）は、日本の特殊メイクアップと造型の分野において、長年にわたり第一線で活躍し続けるアーティストであり、映画監督としても独自の視点を提示している。1966年に大阪で生を受けた彼は、映像表現における視覚効果の可能性を追求し続け、その卓越した技術と創造性で数々の作品に貢献している。

経歴とキャリアの確立

大阪府立佐野工業高等学校機械科を卒業後、メイクアップアーティストとしての道を志し、大阪モード学園で専門的な学びを深めた。キャリアの重要な転機となったのは、1987年に特殊メイクアップアーティストの草分け的存在である神風太郎氏に師事したことである。この期間に培われた基礎技術と知識が、その後の彼の活動の礎となる。

1992年、独立を果たした仲谷は、自身の特殊メイク専門工房「KID`S COMPANY」を大阪に設立した。以来、この工房を拠点として、映画、テレビドラマ、CM、ミュージックビデオ、さらには各種イベントに至るまで、非常に広範な領域で特殊メイクや造型の制作依頼に応じている。彼の生み出す作品は、リアルな傷跡、エイジングメイク、クリーチャーデザイン、精巧なパペット、そして肌絵など、そのバリエーションの豊かさが特徴であり、多様な表現ニーズに対応する能力を示している。

多岐にわたる参加作品

仲谷が特殊メイクや造型で参加した作品リストは膨大である。映画分野では、カルト的な人気を誇る『VERSUS』や『地獄甲子園』、『魁クロマティ高校』といった作品から、『クローズEXPLODE』、『蚤とり侍』といった大規模な商業作品まで、その活動範囲はメジャー・インディーズを問わない。特に、石原貴洋監督によるバイオレンス色の強い作品群にも数多く参加し、その独特の世界観構築に不可欠な視覚効果を提供している。

テレビの世界でもその存在感は顕著で、『探偵ナイトスクープ』や『ごきげんブランニュ！』のような人気バラエティ番組でのユニークな造型やメイク、さらには『NHKヒストリア』における歴史再現のためのメイク、そして『探偵由利麟太郎』、『恐怖新聞』といったドラマ作品での特殊効果メイクなど、多方面からの依頼を受けている。CM制作においても、パナソニック（ロシアCM）、チョーヤ梅酒、そして多数の小林製薬のCMなど、視聴者に強い印象を残すビジュアルを創り出してきた実績を持つ。

後進育成への情熱

自身の技術と経験を次世代に継承することにも強い意欲を示しており、教育者としての側面も持つ。ECCアーティスト専門学校や大阪デザイナー専門学校では、新たに特殊メイクコースを立ち上げる段階から関わり、カリキュラム開発や指導体制の構築に貢献した。現在も大阪モード学園にて非常勤講師を務め、未来のアーティストたちへの指導を続けている。また、自身の工房でも定期的にスクールを開講しており、実践的な技術指導を通じて、特殊メイク業界を担う若手の育成に情熱を注いでいる。こうした教育活動は、日本の特殊メイク文化の発展に不可欠な貢献となっている。

映画監督としての活動

特殊メイクアーティストとしての確固たる地位を築く一方で、仲谷進は映画監督としても自身のクリエイティビティを発揮している。『腐女子 - A Wife And The Child Are Corrupt』や『おおわいこ』といった監督作品を発表しており、特殊メイクという視覚表現の枠を超え、物語全体を構築する映像作家としての才能も示している。

まとめ

仲谷進は、特殊メイクアップと造型における卓越した技術力と芸術性をもって、日本の映像・エンターテインメント業界に多大な貢献を果たしてきた。その活動は、商業作品から個性的なインディーズ作品まで幅広く、視覚表現の可能性を常に追求している。さらに、熱心な教育活動を通じて、次世代の育成にも尽力しており、日本の特殊メイク界の未来を支える重要な存在と言えるだろう。彼の創造する世界は、これからも多くの観客に驚きと感動を与え続けるに違いない。

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