任侠沈没

任侠沈没（にんきょうちんぼつ）

『任侠沈没』は、山口正人による漫画作品で、ポストアポカリプスと極道を融合させた独特な世界観を持つ作品です。もともとは別冊漫画ゴラクにて、No.549から572号まで連載され、単行本は日本文芸社から全3巻が発行されましたが、現在は絶版となっています。電子書籍としても配信されており、幅広い読者に支持されています。また、本作は2011年にオリジナルビデオとして映像化され、2015年には描き下ろしエピソードを収録したコンビニコミックも発売されました。

概要

作品は、日本が未曾有の大地震によって荒廃し、無法地帯と化した世界を舞台にしています。主人公の大紋寺龍伍は、ヤクザの若頭で、妻子を惨殺された過去を持ち、復讐の旅に出ることになります。任侠道を貫こうとする彼は、旅の途中で様々な仲間と敵に出会いながら、暴力と非情な現実に直面していきます。物語の背景は、伊豆半島を中心に展開し、荒唐無稽な要素が豊富に盛り込まれています。

あらすじ

物語は、大紋寺龍伍が多額の損失を出した組長の実子を斬るところから始まります。彼は帰宅するなり、妻と娘が惨殺され、組長からの報復があったことを知ります。これを受け、龍伍は部下たちの前で親殺しを宣言しますが、すぐその後、日本は大地震に見舞われ、彼の復讐の道は荒れた現実に阻まれます。その中、彼は生き残った部下たちとともに、組長を討つための旅を始めることになります。自衛隊との戦闘や農作業を経て、彼らは東京にたどり着き、さらなる波乱を迎えることになります。

登場人物

主人公とその仲間

• - 大紋寺龍伍（だいもんじ りゅうご）：本作の主人公で、赤竜流組の若頭。白いスーツに身を包み、強烈な個性を持つ男です。彼は復讐のために旅を続け、任侠道を貫く男です。
• - 清川四郎太（きよかわ しろうた）：赤竜流組の若頭補佐で、カポエラの達人。冷静な性格で、龍伍に助言を行います。
• - 佐藤 米七（さとう よねひち）：龍伍を兄貴と呼ぶ舎弟頭で、特殊な義手を持ち、その中には驚異的な爆薬が仕込まれています。
• - 風野又三郎（かぜの またさぶろう）：末期癌を患っている鉄砲玉で、狂気じみた行動をとります。

敵対者たち

• - 粟侍 我竜（あわじ がりゅう）：赤竜流組の組長で、龍伍の親であり、同時に彼の復讐の対象でもあります。
• - 安出 徹（あんで とおる）：「アンデッド」と呼ばれる殺人鬼で、痛覚を持たない恐ろしい存在です。

本作は、任侠道とポストアポカリプスの要素を巧みに組み合わせ、主人公の壮絶な復讐劇を描いている点が大きな魅力です。荒れた世界の中で戦い抜く彼の姿、仲間との絆、裏切りや裏切られる人間ドラマが織り成すストーリーは読み応えがあります。物語の進行とともに、俄然高まる緊張感は、作品のエンターテインメント性を際立たせています。

もう一度検索