任期付自衛官

任期付自衛官とは

任期付自衛官とは、自衛官が育児休業を取得した際に、その代替要員として任期を定めて採用される元自衛官のことです。この制度は、育児休業を取得する自衛官の業務を円滑に遂行するために設けられました。

類似の名称として「任期制隊員」がありますが、これは2等陸・海・空士を指すものであり、任期付自衛官とは全く異なる制度です。任期付自衛官は、あくまでも育児休業を取得する自衛官の代替要員として、一定期間のみ採用される点が特徴です。

制度の背景

2002年（平成14年）の「国家公務員の育児休業等に関する法律」改正により、国家公務員の育児休業取得可能期間が最大3年まで延長されました。特別職国家公務員である自衛官にもこの法律が準用されることになったため、2007年（平成19年）に自衛隊法施行規則が改正され、任期付自衛官制度が導入されました。

育児休業中の隊員は無給となるため、代替要員を採用しても人件費が増加することはありません。これにより、人員不足による業務への影響を最小限に抑えることが可能になりました。

応募資格

任期付自衛官に応募するには、以下の条件を満たす必要があります。

自衛官として1年以上の勤務経験があること
3曹以上の階級を指定する場合は、自衛隊法施行令別表第9に定める定年年齢未満であること
士長以下の階級を指定する場合は、18歳以上であること

予備自衛官補（一般公募）を経て予備自衛官に任官した者や、即応予備自衛官からの任用も可能です。

配置される職種

陸上自衛隊では、一身上の都合で退職を余儀なくされた女性自衛官が、通信や会計職域、連隊・群の総務・人事・広報部門に配置される傾向があります。これらの職種は、専門知識や経験が求められるため、元自衛官の知識やスキルが活かされると考えられます。

募集について

任期付自衛官の募集は、必要に応じて各幕僚監部または部隊単位で告示されます。そのため、任期付自衛官を希望する場合は、定期的に情報を確認する必要があります。

元自衛官再任用制度

平成29年度からは、任期付自衛官制度とは別に、「元自衛官再任用制度」が導入されました。これは、一身上の理由で退職した自衛官を、再度現職の自衛官として採用する制度です。定年退職者の再任用とは異なります。

まとめ

任期付自衛官制度は、育児休業を取得する自衛官の代替要員を確保するとともに、元自衛官の再就職を支援する制度です。制度の導入により、自衛隊の業務継続性と元自衛官のキャリア形成の両立が図られています。

参考資料

国家公務員の育児休業等に関する法律 - e-Gov法令検索
自衛官の育児休業に伴う任期付採用に関する訓令
任期付自衛官制度
* 2009年9月の朝雲ニュース

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