伊三百六十一型潜水艦

伊三百六十一型潜水艦（伊361型）

伊三百六十一型潜水艦は、大日本帝国海軍の潜水艦のひとつであり、特に輸送任務を重視した設計が特徴です。この潜水艦は、太平洋戦争の後半にあたる1944年に全12隻が竣工し、その主な目的は厳しい警戒が敷かれた離島への物資輸送でした。艦の形状は、レーダーに探知されないよう工夫され、艦橋下部は逆台形を採用していました。

背景と設計

この艦級の誕生には、1941年に計画された輸送潜水艦の構想が影響を与えました。その際の計画は具体化せずに消滅しましたが、ミッドウェー海戦以降、海軍の運用方針は大きく変わりました。大規模な侵攻作戦が難しくなる中で、密かに敵の陸へ上陸する能力が求められたのです。このような理由から、輸送潜水艦としての新たな要件が設定され、伊三百六十一型潜水艦の計画が進行しました。

艦の設計にあたり、潜水商船「ドイッチュラント」を参考にしました。輸送に特化した形状とし、当初は陸戦隊110名と物資10トンを搭載可能とする計画がありましたが、戦局に即した設計変更が加えられました。結果として、物資の搭載量を増加させるために人員の搭載をやめ、艦内の積載量は65トンに減少しましたが、最終的には新艦伊372が90トンに改良されています。

兵装と装備

いくつかの艦においては、自衛用に魚雷発射管が2門装備されていましたが、多くの艦が輸送スペース増大のためにこの発射管を削除しました。主砲には14cm単装砲、対空用には移動式の25mm単装機銃が装備されました。この機銃は、特型運貨船などを搭載するため、移動可能な設計がなされていました。

艦の運用においては、全艦が水上警戒用の電探や逆探測装置を搭載しており、1945年以降には新型の逆探や水中充電装置も導入されました。特に初めて水中充電装置を搭載したのは伊372で、この革新は潜水艦の運用能力を一気に向上させる重要な要素となりました。

改装と運用

終戦を迎える1945年には、使用される潜水艦が不足していたため、一部艦に対して回天搭載の改装が施されました。この改装によって、魚雷発射管を再装備した上で、合計5基の回天を搭載できるようになりました。こうした艦は回天特別攻撃隊としても従事し、戦局の変化に対応した独特の運用を実践しました。

艦歴と所属

伊三百六十一型は、基本計画番号S51として11隻が計画され、そのすべてが竣工に至りました。1944年の戦時計画ではさらに7隻が計画され、最初の艦伊372が完成。その後、伊373が丁型改として竣工しました。終戦時には、いくつかの艦が残存し続け、最終的には解隊となり所属艦が除籍されました。

この艦級の運命は、太平洋戦争の厳しい艦艇運用状況を反映しており、様々な任務に従事した潜水艦の中でも独自の立ち位置を持ち続けたことが確認できます。

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