伊丹南口駅

伊丹南口駅：歴史とその後

伊丹南口駅は、兵庫県伊丹市と尼崎市の境界付近に位置していた、今は存在しない駅です。かつては、地域の重要な交通拠点として機能していましたが、様々な歴史的経緯を経て廃止となりました。本稿では、伊丹南口駅の興亡と、現在に残る痕跡について詳しく見ていきましょう。

開業から廃止まで

伊丹南口駅の始まりは、明治24年（1891年）9月まで遡ります。川辺馬車鉄道の長洲～伊丹間の開業に伴い、中間駅として誕生しました。当初の軌間は1067mmでした。しかし、明治26年（1893年）12月、川辺馬車鉄道が摂津鉄道に譲渡されると、軌間は762mmに変更され（改軌）、一時的に列車の停車が中止されました。その後、明治27年（1894年）3月、摂津鉄道の駅として再開業を果たします。

明治30年（1897年）2月には、阪鶴鉄道の駅となり、同年末、軌間を1067mmに改めて改軌する際に、ついに廃止が決定しました。当時、伊丹町議会は阪鶴鉄道に復活を請求しましたが、残念ながら受け入れられませんでした。

駅の跡地と伊丹南口踏切

明治時代に作成された地図を見ると、摂津鉄道の線路が、江戸時代以前から存在していた有馬街道（大坂道、湯山街道）と交差する地点に駅が描かれています。現在、JR福知山線と有馬街道の交点には「伊丹南口踏切」が存在します。この踏切の名前は、かつてこの場所に伊丹南口駅が存在したことを示唆する、貴重な痕跡と言えるでしょう。街道と鉄道の交点という、駅設置場所の必然性を踏まえた命名が、廃止後も踏切名として受け継がれている点は興味深い点です。伊丹南口踏切は、過ぎ去った時代の証として、静かにその役割を担い続けています。

参考文献と関連事項

伊丹南口駅の詳細な歴史を知るためには、以下の文献が役立ちます。これらの文献には、駅の開業から廃止までの経緯、周辺地域との関係性など、様々な情報が記されていると考えられます。

伊丹市史
尼崎市史
川西市史
宝塚市史

さらに、伊丹南口駅の歴史を理解する上で、以下の関連事項も重要な要素となります。

川辺馬車鉄道
摂津鉄道
阪鶴鉄道
園田村（現在の尼崎市の一部）

これらの情報から、伊丹南口駅は単なる鉄道駅ではなく、地域の変遷や歴史と深く関わった存在であったことがわかります。現代に残る伊丹南口踏切は、その歴史を静かに語り継いでいると言えるでしょう。

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