伊佐ノ浦川

伊佐ノ浦川

伊佐ノ浦川は、長崎県の西彼杵半島北西部を西へ流れ、五島灘へと注ぐ二級河川です。流域は西海市に位置し、その優れた自然景観から西彼杵半島県立公園の一部にも指定されています。

流域の地形

川は、西彼杵半島北部の溶岩台地、白岳の北側斜面を源流とします。上流部は比較的平坦で、流れに沿って水田が広がっています。川は水田地帯を北へ流れ、その後緩やかに南へと向きを変えます。源流から約3km地点には、1987年に完成した伊佐ノ浦ダムがあります。

伊佐ノ浦ダムより下流は、上流とは対照的に険しいV字谷を形成しており、川は森林に覆われた斜面を西へと流れ下ります。河口から1.3km地点には砂防堰堤が設けられていますが、1972年にはここから大島への海底水道が開通し、上水道用水が送られています。

V字谷は河口まで続き、川は七釜湾東側の伊佐ノ浦へと流れ込みます。川の流れによって削られた土砂は河口周辺に堆積し、転石海岸や砂泥干潟といった独特の地形を形成しています。

伊佐ノ浦ダム

伊佐ノ浦川の中流に位置する伊佐ノ浦ダムは、1987年3月に完成した畑地灌漑専用のダムです。河口から3.1km、標高約160mの地点にあります。

ダムは、堤高29.7m、堤頂長140.75m、有効貯水量164万m3、集水区域6.7km2、水没面積24.5haの重力式コンクリートダムです。ダム湖周辺は複数の尾根と谷が入り組んだ地形をしており、ダム湖も放射状に広がっています。ダムから取水された水は、一旦上流の木場郷までポンプで汲み上げられ、西海市西海町域の畑地約500haに供給されています。

伊佐ノ浦公園

伊佐ノ浦ダムの周辺は、「伊佐ノ浦公園」として整備されており、キャンプ場、全長約5kmの遊歩道、ボート用の浮き桟橋、桜並木などが設けられています。公園の利用には、一人100円の美化協力金が必要です。春には桜が咲き誇り、多くの人々が訪れる憩いの場となっています。

参考文献

* 角川日本地名大辞典編纂委員会『角川日本地名大辞典 42 長崎県』1987年 ISBN 9784040014203

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