伊東祐鐘

伊東祐鐘（いとう すけあつ）は、江戸時代中期の大名であり、日向国飫肥藩の第10代藩主として知られています。

生い立ちと藩主就任

伊東祐鐘は、第9代藩主・伊東祐福の長男として江戸で生まれました。天明元年（1781年）、父の死去に伴い家督を継ぎ、飫肥藩の第10代藩主となりました。藩主就任後、祐鐘は藩政改革に積極的に取り組みました。

藩政改革と「杉方部一法」

祐鐘が特に力を入れたのが、藩の財政基盤を強化するための改革でした。その一環として、「杉方部一法」と呼ばれる山林・植林制度を確立しました。これは、藩内の山林資源を有効活用し、計画的に植林を行うことで、長期的な収益を確保しようとするものでした。この制度は、後の藩財政を支える重要な柱となりました。

天明の大飢饉と植林事業

祐鐘の時代には、天明の大飢饉が発生し、藩内は深刻な食糧不足に陥りました。この危機に対応するため、祐鐘は農民救済と財政再建を目的とした大規模な植林事業を寛政元年（1789年）に開始しました。植木方の石那田実右衛門の指導のもと、藩内の山々に多くの木が植えられ、その収益を飢饉に苦しむ農民たちの救済に充てました。この事業は、藩の財政を立て直すだけでなく、農民たちの生活を安定させることにも貢献しました。

早世と後継

しかし、祐鐘は寛政10年（1798年）2月14日に27歳という若さでこの世を去りました。その短い生涯の中で、藩政改革や飢饉対策に尽力し、飫肥藩の発展に大きく貢献しました。彼の死後、家督は長男の祐民が継ぎました。

系譜

父: 伊東祐福
母: 貞（中川久貞の娘）
正室: 稲葉弘通の娘
子女:
長男: 伊東祐民（生母は正室）
次男: 伊東祐丕

伊東祐鐘は、若くして亡くなったものの、その功績は大きく、藩政改革や民衆救済に尽力した名君として、後世に語り継がれています。

もう一度検索