伊藤えん魔のAMam

伊藤えん魔のAMam（いとうえんまのエイエム・エイエム）

「伊藤えん魔のAMam」は、2004年10月から2008年9月にかけて、朝日放送ラジオ（ABCラジオ）で毎週木曜日の深夜、日付が変わって金曜日になったばかりの0時30分から1時までの30分間に放送されていたバラエティー番組です。

この番組の大きな特徴は、そのユニークな設定にありました。番組全体が、深夜にこっそりと営業しているコンビニエンスストアという舞台設定で進行しました。番組タイトルも、実在するコンビニチェーン「am/pm」をもじったパロディーとなっています。メインパーソナリティーは、関西を中心に活動する劇団「ファントマ」の座長である伊藤えん魔が務め、彼はこのコンビニの「店長」として登場しました。そして、劇団ファントマのメンバーたちが、「店員」や「お客さん」といった様々な役柄で出演し、番組の世界観を構築しました。

番組の内容は多岐にわたり、リスナーからの便りやアイデアが重要な要素となっていました。また、世界中の珍しいコンビニ事情を紹介するコーナーや、様々な分野の専門家やユニークな「達人」をゲストに招き、その仕事の裏側やこだわりについて深掘りするトークコーナーなども展開されました。これらの番組内容は、インターネット放送の「Webio」でも配信されていたため、放送エリアに関わらず多くのリスナーが番組を楽しむことができました。

番組に出演するキャストは、店長である伊藤えん魔を中心に、きんた・ミーノが店員や客としてレギュラー出演していました。番組開始当初からのレギュラーメンバーとしては、美津乃あわと浅野彰一も名を連ねていましたが、彼らはそれぞれの舞台出演のスケジュール調整が難しくなったことから、浅野は2007年7月頃に、美津乃は2008年2月をもって番組を卒業しました。また、腹筋善之介と坂口修一は準レギュラーという立場で、レギュラー出演者が不在の際にサポートする形で出演することがありました。特に坂口は、浅野の卒業に伴い、2007年7月頃からは実質的にレギュラー出演に近い頻度で登場しましたが、彼もまた舞台などの都合により2008年3月に番組を卒業しました。

番組を構成する主なコーナーは以下の通りでした。

企画会議：リスナーから寄せられた「こんなコンビニ商品があったら面白い」といったアイデアを基に、出演者たちが自由に議論し、ユニークな企画を生み出そうとするコーナーです。ここで採用されたアイデアの投稿者には、記念品として「ガチャポンバッヂ」がプレゼントされました。
世界のコンビニから：人気の紀行番組「世界の車窓から」をパロディー化し、伊藤えん魔が世界各地に存在する変わったコンビニや、その国のコンビニ事情について紹介するコーナーでした。
達人トーク：特定の職業で「達人」と呼ばれるようなゲストをスタジオに招き、その道のプロフェッショナルならではの話や、仕事の舞台裏について出演者たちが聞き出すコーナーです。
うわさの入荷情報：主に美津乃あわが担当し、コンビニなどで見つけた便利グッズやアイデア商品を実際に試してその使用感をレポートするコーナーでした。

「企画会議」や「達人トーク」といった主要コーナーの前には、番組の設定に合わせた短いミニコント（寸劇）が挿入されることもあり、番組の雰囲気を一層盛り上げていました。2006年5月頃からは、「企画会議」のパートに時間を多く割くようになり、「達人トーク」や「世界のコンビニから」が放送される回数は少なくなりました。

番組の歴史には、いくつかの特筆すべき出来事があります。2005年8月には、高石市にあるラジオ放送送信所の施設更新工事に伴い、番組の放送が一時的に休止された期間がありました。また、2005年10月30日には、当初予定されていたプロ野球日本シリーズの中継が、対戦カードであった阪神タイガースの4連敗により実施されなかったため、急遽番組初の1時間スペシャル版が20時からのゴールデンタイムに放送されるという珍しいケースもありました。番組は2008年4月からは、人材派遣会社のシティートラストがスポンサーとして協賛するようになりました。

番組には、投稿を通じて繰り返し登場したり、番組内でキャラクターとして扱われたりする「常連」と呼ばれるリスナーや名前があり、三浦、女王様、妄想姫（旧称えろねね、おこねね）、ギター男、ライター、モダンジャズが聞こえるといった名前が知られていました。

「伊藤えん魔のAMam」は、深夜のコンビニという身近かつ非日常的な空間を舞台に、劇団員の個性的なキャラクターと演技、そしてリスナー参加型の企画が見事に融合した、独創的な深夜ラジオ番組として、一部の熱狂的なリスナーに愛されました。

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