伊藤不二男

伊藤不二男の生涯と業績

伊藤不二男（いとう ふじお）は、1911年3月20日に福岡県で生まれ、1987年3月25日に逝去した日本の国際法学者です。彼は東京帝国大学法学部を卒業後、九州帝国大学大学院でさらに学び、その後教職に就くとともに国際法の研究を深めました。彼の業績は、日本国内だけでなく国際的にも評価されており、特に国際法理論に関する研究や著作は法学界に多大な影響を与えました。

1940年には九州帝国大学大学院を修了し、同校で副手や助手として勤務しました。その後、南山大学や熊本大学で助教授として教鞭を取った後、1953年には九州大学法学部に助教授として赴任しました。1954年に教授に昇進し、1962年には九州大学から法学博士の学位を授与されました。さらに、1963年から1965年まで法学部長を務め、1974年に定年で退官するまで、同大学における国際法研究を牽引し続けました。退官後は名誉教授の地位を持ちつつ、西南学院大学で教職に立ちました。

伊藤の研究分野は国際法の理論に特化しており、特にスペインの法学者ビトリアやスアレス、オランダのグロティウスに関する著作が知られています。彼の著書としては、1957年に発刊された『スアレスの国際法理論』や、1965年の『ビトリアの国際法理論 国際法学説史の研究』、1984年の『グロティウスの自由海論』があり、これらは国際法の理論的な背景と歴史を体系的に解説した貴重な資料です。特に『ビトリアの国際法理論』は、彼の研究が評価され、1966年には日本学士院賞を受賞しました。

伊藤不二男は国際法学者としての地位を確立するだけでなく、次世代への教育にも注力し、多くの学生を育てました。その影響は今もなお、国際法学の分野で生き続けています。彼の業績は、日本における国際法の発展を促し、国際社会における日本の立ち位置を強化するための重要な土台を築いたと言えるでしょう。

彼に関する資料は、多くの図書館や学術機関で入手可能であり、さらに彼の著書を通じて、国際法の基礎知識やその黎明期の考え方を学ぶことができます。

もう一度検索