伊藤勝彦

伊藤勝彦（いとう かつひこ）

伊藤勝彦は、1929年7月13日に岐阜県大垣市で生まれ、2015年1月14日に逝去した日本の著名な哲学者および評論家です。彼は東京大学で哲学を学び、文学博士号を取得した後、長い間大学の教授として活動しました。その中で、特にデカルトやパスカルの哲学に焦点を当て、哲学と文学の交差点で独自の見解を展開しました。

略歴

伊藤氏は東京大学文学部哲学科を1953年に卒業後、同大学院の博士課程に進学しましたが、1960年に中退し、助手職を経て1972年に文学博士号を取得しました。その後、1963年には北海道大学文学部助教授となり、1972年からは埼玉大学で教授職を務め、1988年に名誉教授の称号を得ました。また、彼は東京女子大学で文理学部の教授としても教鞭をとり、1998年に退任しました。

活動

伊藤氏は、哲学の研究を基盤にしつつも、文学への深い興味を持ち続けました。特に、作家の三島由紀夫に強く影響を受け、文芸評論にも精力的に取り組みました。その著書『愛の思想史』は、多くの読者に支持され、長年にわたりロングセラーとして親しまれています。

主な著書と作品

伊藤勝彦の著作は非常に多岐にわたり、以下にいくつかの主要な作品を挙げます。

• - 『危機における人間像 人間存在のダイナミックス』（1963年、理想社）
• - 『愛の思想史 精神と性との間のドラマ』（1965年、紀伊国屋新書）
• - 『デカルトの人間像』（1970年、勁草書房）
• - 『虚構の時代と人間の位置』（1975年、日本経済新聞社）
• - 『夢・狂気・愛』（1977年、新曜社）
• - 『哲学への情熱』（1996年、勁草書房）
• - 『必要悪としての民主主義 政治における悪を思索する』（1998年、東信堂）
• - 『最後のロマンティーク三島由紀夫』（2006年、新曜社）

これらの作品を通じて、伊藤氏は哲学の重要なテーマや文学との関連性について探求し、多くの読者に深い洞察を提供しました。特に彼の文芸評論や思想に関する考察は、文学と哲学の架け橋を築く重要な役割を果たしました。

共編・編著

また、伊藤氏は他の著者との共編や編著も行い、以下のような作品も残しています。

• - 『美の哲学』（1973年、斎藤忍随）
• - 『情念の哲学』（1992年、坂井昭宏）
• - 『世の終わりにうたう歌 世紀末ウィーンの天才たち』（1993年、新曜社）

これらの活動や著作を通じて、伊藤勝彦は20世紀の日本における哲学的および文化的な議論に大きな影響を与えました。彼の研究は今なお多くの論者によって引用されており、その思想の深さと幅広さは日本の学術界においても重要視されています。

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