伊藤孝次郎

伊藤 孝次郎

伊藤 孝次郎（いとう こうじろう）は、1918年（大正7年）11月12日に生まれ、1992年（平成4年）5月10日に73歳でこの世を去った日本の政治家です。特に東京都東久留米市の市長を務めたことで知られています。

初期経歴

山形県の出身である伊藤は、早稲田大学専門部政経科で学び、1940年に卒業しました。ジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、1939年には中外商業新報の記者となります。翌1940年には中国に渡り、青島興亜新報の支局長と論説委員を兼務しました。

第二次世界大戦後は日本に戻り、東京タイムズに籍を置き、社会部次長を務めました。その後、官公庁へ転じ、総理府の公職訴願審査委員会事務局に勤務しました。

地方政治への転身

官公庁での勤務を経て、伊藤は東京都久留米町（現在の東久留米市）の政治の世界に足を踏み入れます。久留米町議会の議員選挙で当選を果たし、地方政治家としての活動を開始しました。久留米町が市制を施行して東久留米市となった後も市議会議員を務め、議会の副議長にも就任するなど、地域における地歩を固めていきました。

東久留米市長に就任

1978年、当時の東久留米市長であった石塚政寿が、汚職事件の責任を取って10月10日に辞職するという事態が発生しました。この辞職に伴い、同年11月26日に東久留米市長選挙が実施されることになります。

伊藤 孝次郎はこの市長選挙に立候補しました。彼は日本社会党の総支部長を務めた経験があり、今回の立候補においても日本社会党と日本共産党から推薦を得ていました。「明るい革新東久留米をつくる会」という組織を掲げ、革新的な市政の実現を目指しました。選挙戦では、自由民主党の支持を受けた米田正氏を含む2名の対立候補を破り、激戦を制して東久留米市長に初当選を果たしました。これにより、東久留米市に革新市政が誕生することとなりました。

市政運営と辞任

市長に就任した伊藤は、公約実現に向けて市政を運営しましたが、在任中には難しい課題にも直面しました。特に、市内に7校目となる中学校の開校計画において、用地取得が難航した問題は深刻でした。この用地取得の遅れにより、学校の開校時期に目処が立たなくなってしまう事態に至ります。

この中学校建設用地問題の責任をとり、伊藤は1981年12月24日、任期途中で市長を辞職することを決断しました。彼の市長としての任期は約3年間でした。東久留米市では、前任者の石塚氏も含め、この時期に市長が3期連続で任期途中に辞職するという異例の事態が続いていました（伊藤自身の辞職は1期目での出来事です）。

その後

市長辞任後の伊藤 孝次郎の公的な活動については詳細な情報はありませんが、1992年5月10日に73歳でその生涯を閉じました。

彼の東久留米市長としての短い期間は、革新市政の試みと、地域における公共事業の難しさを示す一例として、東久留米市の政治史に刻まれています。

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