伊藤峻太

伊藤 峻太

生涯

伊藤 峻太（いとう しゅんた）は、1987年5月1日に東京都で誕生した日本の映画監督です。幼少期より映像表現に強い関心を持ち、千葉県立幕張総合高等学校在学中という早い時期から映画制作に取り組み始めました。高校生であった2004年には、初の長編作品となる『ウィッシュバニッシュラビッシュ』を完成させています。また、この高校在学中に、自身の活動の基盤となる自主制作集団「芸術家族ラチメリアカルムナエ」を設立しました。翌2005年には、在学中の母校からの依頼を受け、『虹色★ロケット』の監督を務めるなど、学生でありながらその才能が認められていました。

高校卒業後、2006年に京都精華大学アニメーション学科へ進学し、専門的な映像技術とアニメーションの表現方法について深く学びました。大学で培った知識と経験は、その後の多様な作品制作に活かされることになります。大学を卒業した後は特定の組織に所属せず、フリーランスとして、あるいは「芸術家族ラチメリアカルムナエ」を活動の中心として、独自のスタイルで自身の映像制作を継続する道を選びました。この時期から、長編映画の製作にも本格的に取り組み始め、後の代表作の一つとなる『ユートピア』（2018年公開）の製作に深く関わっています。

2014年には、インディペンデント映画監督の育成と国際的な活動を支援するプロジェクト「Gateway for Directors Japan」の第1弾として実施された「C2C‐Challenge to Cannes 2014」に参加。これは、若手映画監督・プロデューサーをカンヌ国際映画祭に派遣する企画公募プロジェクトであり、伊藤氏は「ユース特別枠」として選出されました。これは、その後のキャリアにおいて国際的な視野を広げる貴重な機会となりました。また、映画だけでなくテレビ番組の分野でも高い評価を得ており、2019年にBSフジで放送されたテレビドラマシリーズ「TOKYOストーリーズ」の一編として脚本・監督を手がけた『宇宙移民の光と影』が、その独創性と完成度から権威あるギャラクシー賞の奨励賞を受賞しています。

作品

伊藤峻太氏の創作活動は広範囲にわたり、映画、テレビドラマ、CMなど、様々なメディアでその手腕を発揮しています。特に、自身の初期作品では監督だけでなく、撮影、編集、さらには音楽制作の一部まで自ら担当するなど、多才なクリエイターとして知られています。

映画作品

監督・脚本を中心に、以下のような作品を手がけています。

『ウィッシュバニッシュラビッシュ』（2005年制作）
高校時代の自主制作作品。監督に加え、編集も担当。
『虹色★ロケット』（2007年公開）
母校の依頼で制作。監督の他、撮影、編集も兼任。下北沢トリウッドにて配給・公開。
『イエロー三部作１きんもくせんせい ２醍醐味 ３yellow』（2008年5月1日公開）
三つの短編からなるシリーズ。主題歌の作詞を手がける。
『最後の星捕り』（2012年9月29日公開）
アニメーション作品。監督・脚本に加え、編集、主題歌の作詞作曲も担当。
『ユートピア』（2018年公開）
卒業後に本格的に取り組んだ長編作品。監督・脚本に加え、VFX、編集、主題歌の作詞作曲まで担当。下北沢トリウッドにて配給・公開。

テレビ番組

テレビドラマやドキュメンタリー番組の監督・脚本も数多く手がけています。

BSフジ「TOKYOストーリーズ」
『妖怪・東京太郎は今』（2019年6月4日放映）
『宇宙移民の光と影』（2019年6月11日放映） - ギャラクシー賞奨励賞受賞作。
いずれも監督・脚本を担当。
BSフジ〈土曜+1〉『シンギュラリTV2043』
#1 カゾクのカタチ（2020年11月7日放映）
#2 シゴトとキカイ（2020年11月14日放映）
シリーズを通して監督・脚本を担当。
WOWOW『ザ・モキュメンタリーズ　～カメラがとらえた架空世界～』（2021年）
監督・脚本の一編を担当。
WOWOW『PORTAL-X　～ドアの向こうの観察記録～』（2024年）
監督・脚本の一編を担当。

CM・その他

CMの監督や、他の映像作品にスタッフとして参加することもあります。

CM: LIL MOON（2017年、出演：ローラ） - 監督
三井住友銀行 CM: あなたのデビューのそばに「家族」「旅立ち」「夢」（2018年） - 監督
参加作品: 『アニメ師・杉井ギサブロー』（2012年7月28日公開） - 助監督、撮影、エフェクトとして参加。

伊藤峻太氏のキャリアは、高校時代からの自主制作活動から始まり、映画、テレビ、CMと活動の場を広げてきました。特に、監督・脚本だけでなく、撮影、編集、VFX、音楽制作までをも自身で手がけるスタイルは、大学で学んだアニメーションを含む幅広い映像表現技術と、インディペンデントな制作体制を基盤とする「芸術家族ラチメリアカルムナエ」の活動から培われたものです。独創的な視点と表現力で、今後の更なる活躍が期待される映画監督の一人です。

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