伊藤彰 (野球)

伊藤 彰（いとう あきら）

1978年12月21日、東京都調布市に生まれた伊藤彰氏は、元プロ野球選手であり、現在は野球指導者として後進の指導にあたっている人物である。左投げ左打ちの投手として、特に高校時代には「世代ナンバーワン」と評される本格派左腕として注目を集めた。

野球への道は、地元である調布市の少年野球チーム、調布リトル・シニアで始まった。その後、山梨県にある山梨学院大学附属高等学校に進学し、その才能を開花させた。高校時代には、エースとしてチームを牽引し、2年生と3年生の夏には全国高等学校野球選手権大会、いわゆる夏の甲子園の舞台を踏んでいる。

高校卒業を控えた1996年のプロ野球ドラフト会議において、伊藤氏は高い評価を得て、注目の存在となった。特に近鉄バファローズは獲得への強い意向を示していたが、伊藤氏の左肩に不安があるとしてメディカルチェックを要望。これに対し、伊藤氏側がメディカルチェックを拒否したため、近鉄は指名を回避し、方針を前川克彦氏の指名へと切り替えた。結果として、ヤクルトスワローズが単独で1位指名し、伊藤氏のプロ入りが決定した。ヤクルト入団にあたっては、調布リトル・シニアの先輩にあたる球団OBの荒木大輔氏がかつて背負った栄光の背番号「11」を受け継ぐこととなった。

プロ野球選手としてのキャリアは、残念ながら怪我に苦しむものとなった。ドラフト会議の際に一部球団から指摘されていた左肩の不安が、プロ入り後に深刻な故障であることが判明したのだ。回復を目指し、アメリカでの手術なども経験したが、怪我は思うように癒えず、本来の実力を発揮することができなかった。プロとして過ごした4年間（1997年〜2000年）の間、一軍公式戦での登板機会は一度も訪れなかった。登録名は、入団当初の1997年から1999年まではカタカナの「アキラ」を使用し、2000年に本名である「伊藤 彰」に戻している。背番号も入団時の11番から、プロ最終年の2000年には64番に変更された。そして、一軍のマウンドに立つことなく、わずか4年という短いプロ野球人生に区切りをつけ、2000年限りで現役を引退した。

プロ野球選手としての夢は閉ざされたが、伊藤氏は野球への情熱を失うことなく、新たな道を歩み始めた。引退後、母校である山梨学院大学に進学し、学生として学びながら再び野球との関わりを深めていった。大学卒業後、今度は指導者として、山梨学院大学硬式野球部のコーチに就任。「夢の神宮」出場を目指す学生たちの指導にあたった。指導者としての手腕が評価される中、当時の高橋一三監督の体調不良に伴い、2014年春には同野球部の監督に昇格した。監督として初めて迎えたシーズンで、チームを見事に牽引し、山梨学院大学硬式野球部にとって創部以来初となる全日本大学野球選手権大会への出場を決めるという歴史的な快挙を達成した。現在も山梨学院大学硬式野球部コーチとして、長年の経験と培ってきた指導論を活かし、選手の育成に尽力している。

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関連項目

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