伊藤早苗

伊藤早苗（いとう さなえ）

日本の物理学者であり、九州大学名誉教授として知られる伊藤早苗は、1952年2月13日に愛知県一宮市に生まれ、2019年7月18日に食道がんのため67歳で逝去しました。彼女の専門はプラズマ物理学であり、特にトロイダルプラズマにおける熱と粒子の輸送現象、および乱流の研究で国際的な評価を受けています。

学歴と職歴

伊藤早苗は、東京都立国立高等学校を経て東京大学理学部物理学科を卒業後、1979年に東京大学大学院理学系研究科（物理学専攻）博士課程を修了し、理学博士号を取得しました。その後、広島大学で助手、講師、助教授を歴任し、名古屋大学客員助教授、核融合科学研究所助教授を経て、1992年に九州大学応用力学研究所教授に就任しました。九州大学では、主幹教授や総長特別補佐、伊藤プラズマ乱流研究センター長、伊藤極限プラズマ研究連携センター長、副学長などの要職を歴任し、教育・研究の発展に大きく貢献しました。

研究業績

伊藤早苗は、夫である伊藤公孝とともに、トロイダルプラズマ表面からの熱と粒子の損失が突如減少し、プラズマのエネルギーが上昇する現象、いわゆるLH遷移に対する理論的説明を提案したことで広く知られています。この研究は、核融合エネルギー研究における重要な貢献とされています。また、プラズマ乱流や輸送現象に関する研究でも多くの成果を上げ、国際的な学会や研究機関で高く評価されました。

受賞と栄誉

伊藤早苗の卓越した研究業績は、数々の賞によって称えられています。主なものとして、日本原子力学会論文賞、仁科記念賞、プラズマ・核融合学会論文賞、日本IBM科学賞、日本物理学会論文賞、科学技術分野文部科学大臣賞科学技術賞などが挙げられます。また、Humboldt Research Awardや英国物理学会フェロー、プロバンス大学名誉博士号など、国際的な栄誉も受けています。

叙位・叙勲

その功績を称え、没後の2019年7月18日には正四位が追贈され、瑞宝中綬章が授与されました。

著作

伊藤早苗は、研究活動の一環として、多くの著書や訳書を出版しています。

著書
Transport and Structural Formation in Plasmas （1999年 Inst. of Physics Pub. Inc.） - 伊藤公孝、福山淳と共著
Plasma and Fluid Turbulence （2003年 Inst. of Physics Pub. Inc.） - 伊藤公孝、吉澤徴と共著
訳書
* ジョン・ウェッソン「トカマク概論」 （2003年 九州大学出版会） - 矢木雅敏と共訳

人物

愛知県一宮市出身。東京都立国立高等学校を経て、東京大学理学部物理学科卒業。


伊藤早苗は、その研究活動を通じて、プラズマ物理学の発展に大きく貢献しただけでなく、後進の育成にも尽力しました。彼女の業績は、今後も多くの研究者に影響を与え続けることでしょう。

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