伊藤桂司

伊藤 桂司（いとう けいじ）は、1958年1月12日生まれの日本のグラフィックアーティストです。アートディレクション、グラフィックワーク、そして映像制作を中心に活動を展開しており、自身の主宰するUFG（Unidentified Flying Graphics）Inc.の代表を務める傍ら、京都芸術大学大学院で教授として教鞭をとっています。

東京都に生まれた伊藤氏は、中央美術学園で学びを深めた後、1980年に雑誌「JAM」でのデビューを飾りました。以降、その活動範囲は広がりを見せ、広告、書籍、雑誌、音楽といった多岐にわたる分野でアートデザインや映像制作を手掛けています。また、国内外で個展を開催したり、様々な展示会に参加したりすることで作品を発表し続け、作品集も複数刊行しています。

国際的な評価も高く、特に1999年にはニューヨークADC（アートディレクターズクラブ）アワードにおいて金賞を受賞するなど、その才能は世界に認められています。教育者としては、2007年に京都造形芸術大学（現 京都芸術大学）の教授に就任しました。

近年（2022年以降）もその創作活動は精力的に続いており、様々な企画展やイベントに参加しています。2022年2月には、桑原茂一氏編集発行の「freedom dictionary」204号で特集が組まれ、同年秋には日本橋馬喰町のPARCELにて個展「VERDE CÓSMICO / ヴェルデ・コスミコ」を開催しました。この個展に際して、幼少期から抱いていた死後の世界への興味や、得体のしれないものとしての「夜」や「宇宙」へのイメージといった、自身の内面的なテーマを作品に昇華させています。また、この時期に発表された寄稿文からは、友人や動物との別れに際して抱く再会への希望や不確実性といった、詩的な視点も垣間見られます。

2023年も活発に活動しており、Gallery TRAXの30周年記念グループ展や、京都のhaku kyotoギャラリーでの「干支 兎 原画展」に参加。特に「東京のうた」（TOKYO BIENNALE 2023連携イベント）ではキービジュアルを担当し、自由が丘女神まつり2023のポスターやバナー、ホテルインディゴ東京渋谷の店内装飾なども手掛けるなど、都市空間におけるアートワークも展開しました。音楽関連では、ピエール・バルーや水本アキラ、山弦といったアーティストのCD/RECORDジャケットワークを多数発表しています。さらに、LIVE AZUMA 2023のメインビジュアル担当や、桑原茂一氏関連のグループ展、渋谷Lurf MUSEUMでの「WAVE」展への継続的な参加など、様々なメディアや場を通じて作品を発表し続けています。

2024年もその勢いは衰えず、CENTER/EDOでの「PINK」展、WALL_alternativeでの「NEU TRIBALISM」展、吉祥寺ギャラリー「ノ離れ」での「やり続ける展 2024」アート・ディレクション、宮崎県都城市での4年ぶりとなる個展「KEIJI ITO EXHIBITION “SWEETNESS II”」、THE NORTH FACE STANDARD 京都での坂本龍一氏追悼企画への出展、JR東京駅構内VINYL TOKYOでの個展「LITTLE FLUFFY – BACK VIEW BEAR – 」、そして桑原茂一氏企画のAGAVE ART展など、多方面で活動しています。特に年末には、GINZA SIXのクリスマス・シーズンにおける館内ディスプレイを担当し、ヤノベケンジ氏とのコラボレーションも含む大規模な空間演出を手掛けました。

2025年も渋谷LURF GALLERYでの「WAVE 2025」展への参加が予定されており、その創作意欲と活動範囲の広さが伺えます。

これまでの主な作品には、愛知万博EXPO2005世界公式ポスター、コカコーラ・コーポレートカレンダー、NHK番組のタイトル映像、クラヴェンデールやSoftBankのキャンペーンヴィジュアルなどがあります。また、テイトウワ、木村カエラ、スチャダラパーといった多数のミュージシャンのアートワークも手掛けています。発表された作品集には、『二而不二 (EDGE TO EDGE)』、『Landscape and flowers』、『MOTORWAY』、『FUTURE DAYS』、『LA SUPER GRANDE』などがあります。

受賞歴としては、日本グラフィック展での年間作家新人賞、そして複数回にわたるニューヨークADCアワードでの受賞（金賞1回、メリット2回）、東京ADC賞（コンバース・キャンペーン広告）などが挙げられます。これらの実績は、伊藤桂司氏が日本のグラフィックアート界において重要な位置を占めるアーティストであることを示しています。

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