伊藤梅子

伊藤梅子：初代総理大臣夫人、歌人としての生涯

伊藤梅子（いとう うめこ）は、嘉永元年（1848年）に生まれ、大正13年（1924年）に没した女性です。初代内閣総理大臣である伊藤博文の継妻として知られる一方、優れた歌人でもありました。

生い立ちと伊藤博文との出会い

梅子は、長門国（現在の山口県）で木田久兵衛の長女として誕生しました。その後、赤間関（下関）の置屋「いろは楼」の養女となり、「小梅」という名で芸妓として活躍します。元治元年（1864年）頃、イギリスからの帰国直後の伊藤博文と出会いました。当時、博文は入江九一・野村靖の妹であるすみ子と結婚していましたが、慶応2年（1866年）に離婚。その後、梅子が博文の継妻となりました。

伊藤博文の妻として

梅子は、博文との間に長女貞子（夭逝）、次女生子をもうけ、養女朝子、養子博邦、眞一、文吉らを育てました。博文が初代内閣総理大臣となると、梅子もまた、初代内閣総理大臣夫人となります。当時の様子は、芥川龍之介の小説『花火』にも描かれています。

梅子は、勝気で向学心に富み、克己心が強い女性でした。下田歌子に和歌を学び、英語の習得にも励みました。常に身だしなみに気を配り、婦徳の鑑と称えられました。

夫の死と晩年

明治42年（1909年）10月26日、博文がハルビンで暗殺されるという悲劇に見舞われます。梅子は人前では涙を見せませんでしたが、自室で「国のため光をそえてゆきましし 君とし思へどかなしかりけり」という歌を詠み、夫の死を悼みました。その後、滄浪閣（神奈川県大磯町）を離れ、東京で娘婿である末松謙澄の邸宅などを転々としながら晩年を過ごし、大正13年（1924年）4月12日に亡くなりました。

伊藤梅子は、激動の時代を生き、伊藤博文を支え続けた女性でした。彼女の生涯は、明治という時代の光と影、そして、一人の女性の強さと哀しみを感じさせます。

参考資料

「伊藤梅子」『日本女性人名辞典』［普及版］、日本図書センター、1998年 ISBN 4-8205-7881-2
父逝いて五十年 伊藤博文小伝記 伊藤眞一1959年 伊藤博文追頌会
* やっぱり妻には かないません! 初代総理大臣 伊藤博文の妻 梅子 歴史ヒストリア NHK 2015年8月26日

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