伊藤盛正

伊藤 盛正（いとう もりまさ）

伊藤盛正は、安土桃山時代から江戸時代前期にかけて活躍した戦国武将であり、大名としても知られています。彼の生涯は数多くの波乱に満ちており、戦国時代の激動を背景にした物語が展開されました。

生い立ちと初期の経歴

慶長4年（1599年）、盛正は父・伊藤盛景の死去を受けて、美濃国大垣城を拠点に家督を継ぎました。この時点での領地は3万4000石に上りました。しかし、その後すぐに日本を揺るがす大事件、関ヶ原の戦いが発生します。

関ヶ原の戦い

慶長5年（1600年）、盛正は関ヶ原の戦いに西軍として参加しました。当初、彼は居城の大垣城を本陣として使用したいと石田三成に要請されますが、一度はそれを拒否します。その後、城を明け渡し、今村城へと退去しました。

戦闘中、彼は市橋長勝との戦いで敗北し、松尾山城に陣をとった際、小早川秀秋に追い出されるという不遇を味わいました。結局、彼は関ヶ原本戦にも参加するものの、戦後に改易され、没落の道を辿ることとなります。

没落と再起

戦後は京都で浪人生活を送りながら、再び立身出世のチャンスを窺います。しかし、運命は再び試練を与えます。彼は徳川家康に捕らえられ、命の危機に晒されましたが、福島正則の助けにより一命を取り留めました。その後、正則の領地である広島に約15年間滞在することになりました。

加賀藩への仕官

時が経つにつれ、盛正は新たな道を探し始めます。元和6年（1620年）頃、彼は加賀藩に仕官することになり、前田利常のもとで忠誠を誓います。この時、彼に与えられた禄高は2000石でした。彼の名には「利」の字が加わり、伊藤図書頭利吉と改名します。盛正の加賀藩への道は、彼の父・盛景と前田利家が織田信長のもとで仕えていたことに起因し、家族の縁が深く関与していました。盛正の正室も利家の養女であるため、彼は前田家から厚遇を受けることとなりました。

晩年と子孫

盛正は元和9年（1623年）3月に死去しました。彼の直系の子孫は、石川県の金沢市、小松市、加賀市に在住しており、彼の名は今なお地域に根付いています。武将としての多彩な人生を送った伊藤盛正の業績とその家系の歴史は、地域の重要な文化遺産となっています。

参考文献

『石川県史資料　近世篇（8）　諸士系譜（一）』（石川県史調査委員会、2008年）

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