伊藤看寿

伊藤看寿の生涯と業績

伊藤看寿（いとうかんじゅ、初代；1719年 - 1760年）は、江戸時代を代表する将棋指しであり、詰将棋の作家としても名を馳せました。三大看寿家の一員であり、将棋界で数々の功績を残しました。別名は政富とも呼ばれます。

家系と早年の生活

看寿は、二代伊藤宗印（五世名人）の五男として生まれ、兄の伊藤宗看（七世名人）を養親としました。享保8年に父の死を経験し、その後、兄のもとで将棋の腕を磨きました。その後、元文元年（1736年）には四段として公式の将棋大会に初めて参加し、その才能を発揮しました。囲碁や将棋の席次争いでは、看寿は9席に位置づけられています。将棋界の競争が激化する中、看寿は広く知られる存在となっていきました。

将棋界での活躍

看寿は、養親であり兄の宗看との対局も興味深いものでした。特に、彼らの初対局では香落ちという条件で戦ったものの、次第に互いの強さを示し合う手合に進展しました。看寿は、宝暦3年に八段に昇段し、この時期に名人候補として期待されていました。宝暦4年には、兄の宗桂との平手戦で勝利し、八段に昇格。その後も将棋界での立場を確立していきます。

詰将棋作家としての活動

伊藤看寿は、指し将棋だけではなく、詰将棋の作家としても名を馳せました。享保10年には、たった7・8歳で詰将棋の批評を行い、兄の宗看に感心されるほどでありました。また、享保16年には601手の長編作品を制作しました。これによって、将棋界へ貢献し続けました。彼の作品は、華麗な構想と緻密さで知られ、今日では多くの将棋愛好者に愛されています。

彼が著した『将棋図巧』は特に有名で、この作品集には数多くの優れた詰将棋が収められています。中でも、「煙詰」と「裸玉」、そして巻末の「寿」などはその象徴的な作品とされ、将棋界に多大な影響を与えました。特に「寿」は611手という長さで、200年間もの間、最長手数の記録として名を刻み続けました。

死去と名誉

伊藤看寿は、宝暦10年（1760年）に死去しました。彼の死去に際しては、当時の不運な流行病が家族を襲ったのではないかとも言われています。亡くなった同年には、実兄や養父も相次いで亡くなり、家族にとって非常に厳しい時期でした。看寿は、没後に名人位を追贈され、その評価は現在まで続いています。

評価と影響

看寿は、将棋指しとしても詰将棋作家としても高い評価を受けています。彼の作品や指し手についての記録が残されており、特に『将棋営中日記』では、彼の技量や強さについて触れられています。また、詰将棋においては彼の作品が今日の詰将棋教育にも影響を与えるほどの価値があります。

まとめ

伊藤看寿は江戸時代の将棋界において、技術と創造性を兼ね備えた非常に重要な人物です。彼の残した数々の作品やその業績は、今もなお多くの将棋愛好者に尊敬され、研究され続けています。将棋の歴史において、彼の存在は欠かせないものとなっています。

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