伊藤茂騎

伊藤茂騎（いとう しげき）

1988年12月20日生まれ、神奈川県出身の俳優、スタントマン、スーツアクター。本名での活動。ジャパンアクションエンタープライズ（JAE）に所属し、その卓越した身体能力と表現力をもって、数多くの作品でアクションシーンやキャラクターの演技を支えている。特に、日本の特撮ヒーロー作品におけるスーツアクターとしての功績は大きい。

経歴

JAEの第42期生としてプロの道へ進む。養成所時代に経験した2011年のJAEプロデュース公演「wipe out 〜破壊」で初舞台を踏んだ。キャリア初期から、特撮作品はもちろん、テレビドラマ、映画、舞台など幅広い分野でアクションやスタント、アンサンブルとして経験を重ねた。

主な活躍

伊藤茂騎氏のキャリアにおいて重要な節目となったのは、2018年に放送されたスーパー戦隊シリーズ第42作『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』である。この作品で、ルパンエックスおよびパトレンエックスという、番組を通して登場するレギュラーキャラクターのスーツアクターとして初めて起用された。二つの顔を持つヒーローの異なる魅力を、キレのある動きで表現した。

続く2019年の第43作『騎士竜戦隊リュウソウジャー』では、作品の顔となる主役、リュウソウレッドのスーツアクターに抜擢される。これは、スーパー戦隊シリーズにおいて中心となるレッドヒーローを演じるという、スーツアクターにとって大きな栄誉であり、彼の実力が広く認められたことを意味する。当時のアクション監督であった福沢博文氏は、リュウソウジャーのモチーフである「恐竜」に求められる、感覚的で全身を使った動きのイメージが、パトレンエックスを演じる伊藤氏に重なったことが起用の理由の一つだと語っている。

リュウソウレッド役以降も、伊藤氏はスーパー戦隊シリーズの中心的キャラクターを立て続けに担当している。『魔進戦隊キラメイジャー』ではキラメイレッド、『機界戦隊ゼンカイジャー』ではツーカイザー、『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』ではドンドラゴクウやドントラボルト、そして『王様戦隊キングオージャー』ではクワガタオージャー、『爆上戦隊ブンブンジャー』ではブンブラックといった、個性豊かなヒーローたちを演じ、それぞれのキャラクターの魅力を最大限に引き出すことに貢献している。これらの連続した主要ヒーロー担当は、彼が現在、特撮アクション界において不可欠な存在であることを示している。

スーパー戦隊シリーズ以外にも、長きにわたり仮面ライダーシリーズに参加しており、多数のライダーや怪人、戦闘員などを演じている。また、映画や舞台作品でも、持ち前の身体能力を生かしたパフォーマンスを披露している。

特徴

伊藤氏の得意とするスキルの一つにパルクールがある。『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』では、ルパンエックスに変身する高尾ノエルを演じた元木聖也氏と共に、パルクールの要素を取り入れたアクションを展開し、注目を集めた。アクション監督の福沢氏は、伊藤氏を評価・推薦した理由として、具体的なスキル以上に、彼の持つ「伸びしろ」に着目したと述べている。これは、役柄や作品の要求に応じて常に自己を更新し、成長し続ける彼のポテンシャルを高く評価した言葉と言えるだろう。

多岐にわたる作品でその技量を磨き上げ、特に近年はスーパー戦隊シリーズの中心メンバーとしてファンに強烈な印象を残している伊藤茂騎氏。日本の特撮アクションシーンを牽引する存在として、今後のさらなる活躍が期待される。

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