伊達慎一郎

伊達慎一郎の生涯

伊達慎一郎は、1907年に島根県松江市で生まれ、1994年に86歳で亡くなった日本の政治家、地方公務員、そして弁護士です。東京帝国大学法学部と大同学院を卒業後、満洲国政府に勤務し、西安県副県長や鉄鋼司弁事などを務めました。終戦後、1947年に島根県職員となり、漁政課長や総務部長を歴任、1960年からは副知事として田部長右衛門知事を支えました。

島根県知事としての活躍

1971年、伊達は田部知事の後継者として島根県知事選挙に立候補し、当選を果たしました。しかし、この選挙は単なる後継者選びではなく、島根県内で強大な影響力を持っていた田部家に対する反発も背景にありました。自民党内には「反田部」の勢力が存在し、大橋武夫代議士を中心に田部県政への批判が高まりました。大橋は、内務官僚出身の山野幸吉を対立候補として擁立し、選挙戦は激化しました。選挙戦では、伊達陣営と山野陣営は激しく争いましたが、最終的に伊達が僅差で勝利を収めました。この結果は裁判で争われましたが、伊達の勝利は覆りませんでした。

伊達は知事として、島根医科大学の誘致や福祉行政、豪雨災害対策に力を注ぎました。次期知事選への出馬意向もありましたが、前回の選挙で敗れた山野が再出馬を表明。関係者から「遺恨試合は避けるべきだ」という声が高まったことを受け、「県政を混乱させたくない」という理由で再出馬を断念しました。

弁護士としての活動と晩年

知事を退任後、1977年に弁護士登録をし、新たなキャリアをスタートさせました。1994年に86歳でその生涯を閉じましたが、彼の政治家としての実績と、その後の弁護士としての活動は、今もなお語り継がれています。

略歴

1907年：島根県松江市に生まれる。
東京帝国大学法学部、大同学院を卒業。
満洲国政府に勤務。
1947年：島根県職員となる。
1960年：島根県副知事に就任。
1971年：島根県知事選挙に当選（1975年まで）。
1977年：弁護士登録。
1994年：死去。

参考資料

山陰新報社編『島根縣人名鑑』1953年。
サンケイ新聞データシステム編『第二十三版産経人物年鑑（中巻）』1991年。
立石泰則『地方の王国』プレジデント社、1991年。
山陰中央新報社・島根県歴史人物事典刊行委員会編『島根県歴史人物事典』山陰中央新報社、1997年。

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