伝染るんです。

伝染るんです。

概要

「伝染るんです。」は吉田戦車によって作られた4コマ漫画で、1989年から1994年まで「週刊ビッグコミックスピリッツ」に連載されました。全5巻という形で単行本化され、累計発行部数は300万部を超えています。この作品は、不条理なギャグを用いた漫画の先駆者とされ、漫画のみならず様々なエンターテイメントの分野でも多大なる影響を与えました。

作品のタイトルは、富士フイルムのカメラ「写ルンです」からのインスピレーションを受けたものです。連載がスタートすると、多くのフォロワーを生み出し、そのスタイルを模倣する作品が次々と登場しました。吉田戦車自らは、最初この作品のタイトルを「スキップ魂」と考えていたことも明かしています。

登場キャラクター

本作には個性的なキャラクターが登場し、特に「かわうそ君」は頻繁に登場します。彼は変わったこだわりを持ち、多様な行動で周囲を巻き込んで混乱を招く存在です。かわうそ君のハワイに対する異常な執着は、彼のキャラクターを象徴する特徴の一つです。また、彼の友人である「かっぱ君」や「かえる」とも複雑な関係を築きながら、様々な不条理な状況を展開します。

他にも、話の中で「下の人」などの奇妙なキャラクターが登場し、ギャグを交えたストーリーが進んでいきます。作品の中では、普通では考えられないような場面やキャラクターが、まるで当たり前のように扱われ、笑いを誘います。

多様なメディア展開

この作品は漫画だけでなく、ゲームやアニメ、さらには実写化もされてきました。1990年にはゲームソフト「伝染るんです。かわうそハワイへ行く」が発売され、吉田自身はそれを「クソゲー」と称しています。2010年には携帯電話向けにミニゲームのアプリが登場し、2012年には東日本大震災復興支援として新作が発表されました。

また、2021年からは東京新聞にて新たに4コマ漫画が連載されており、2022年からはWEBでも配信が開始されました。2025年には、この作品の登場から40周年を記念して特別な企画も用意されています。

影響と評価

「伝染るんです。」はそのユニークなスタイルと発想から、漫画界はもちろん、芸能界や広告業界にも影響を及ぼしました。作品のギャグやキャラクターは多くの人々に親しまれ、様々な形で引用されることもあります。

不条理ギャグという新たなジャンルの確立は、後に登場する数多くの作品にも影響を与え続け、日本のポップカルチャーの中での足跡を残しています。このように「伝染るんです。」は、ただの漫画という枠を超え、文化の一部となるほどの存在感を持っています。

単行本とその特徴

この4コマ漫画は小学館から5巻が出版され、そのデザインも特徴的です。第1巻は特に意図的に誤植を施し、「乱丁本」のようなそれらしい装丁が施されています。この独特なスタイルは、その後の巻では通常の書籍スタイルに戻りますが、一度出てきた特異性は多くのファンに記憶されています。

まとめ

「伝染るんです。」は、吉田戦車の手による単なる漫画以上の存在であり、独自の世界観とユーモアを持った作品です。その不条理で奇妙なキャラクターたちが織りなすストーリーは、今なお多くの人々に愛され続けています。

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