伴素彦

伴素彦の生涯と功績

伴素彦（ばん もとひこ、1905年1月1日 - 1998年9月3日）は、20世紀初頭の日本のスキージャンプ界において重要な役割を果たした選手であり、実業家としても名を馳せた人物です。京都府に生まれ、父親の転勤により小樽に移住したのは小学3年生の時でした。この地域での生活は彼のスポーツキャリアに影響を与えたと考えられます。

彼は旧制小樽中学を経て、北海道帝国大学農学部に進学しました。大学時代からスキージャンプに熱中し、特に1926年に開催された第4回全日本スキー選手権での優勝が彼の名声の第一歩となりました。彼のスキージャンプキャリアの中で、1928年のサンモリッツオリンピックに日本代表として出場したことは特に印象深い出来事です。しかし、彼はコーチや通訳が不在の状態でオリンピックに臨み、競技条件の厳しさに困惑し本来のジャンプを発揮できず、最下位に終わってしまいました。

とはいえ、この経験は後に日本のスキー界にとって貴重な教訓となりました。彼は1929年の第2回全日本学生スキー選手権でも優勝し、実績を重ねていきます。現役引退後も、全日本スキー連盟の役員として積極的に活動し、1972年には全日本学生スキー連盟会長、1975年には全日本スキー連盟会長に就任しました。また、1980年のレークプラシッドオリンピックでは日本選手団の団長を務め、多くの選手たちを支えました。

伴は、スキージャンプの発展だけでなく、実業界でも大きな成功を収めました。1929年に日本製粉に入社し、以降は各工場の長を歴任しながらその手腕を発揮しました。1966年には副社長、1970年には社長に就任し、1974年には会長に就任して、同社の発展に寄与しました。1982年には、第15回食品産業功労賞を受賞し、その業績が評価されました。

彼の生涯には多くの受賞歴があり、1984年にはJOCスポーツ賞JOCオーダーを受賞しました。伴は1998年に長野オリンピックを見届けた後、93歳でこの世を去りました。彼の人生は、スキー競技と実業の両面での成功を体現しており、今でも日本のスポーツ界に大きな影響を与え続けています。最期は長野オリンピックの感動的な瞬間を見届ける形となり、彼の功績は多くの人々に記憶されています。

もう一度検索