位田

位田（いでん）について

位田とは、日本の古代律令制度の一部であり、五位以上の官位を持つ者や皇族に対して、その位階や品位に応じて支給される田地のことを指します。こうした田地は、租税を納める義務があり、一般に「輸租田」として知られています。順位に応じて振り分けられるため、位田は有力者にとって重要な財源となりました。なお、このように品位に沿って割り当てられた田地は「品田（ほんでん）」とも称されています。

この制度は、中国の唐律令における官人永業田から影響を受けていると考えられています。この唐の制度では、田地が子孫に引き継がれることができましたが、日本の位田制度では、その田地は個人の死後に国に返還されるという点が異なります。

特に、品田の配分は厳格であり、一品の親王には80町、二品には60町、三品には40町、四品には30町が割り当てられました。これにより、高い位の者ほど広大な田地を所有することができ、彼らの生活や地位を支える一助となっていました。

ただし、位田の選定方法や実際にその田地を耕作する者については、今もってはっきりとした情報が存在しないため、研究者たちはこれを解明しようと試みています。地域にはいくつかの「位田」という地名が残っており、これが位田制度の名残とされていることもあります。

他に関連する制度としては「職田」などもあり、これらは役人や官吏がその職務に応じて与えられる土地を指します。相互に関連しあったこれらの制度は、古代日本の社会における土地制度や権力構造の理解に重要な役割を果たしています。位田および品田は、当時の社会経済や権力関係を示す一つの窓口として、今なお多くの研究が続けられています。

古代の日本における位田の制度は、単なる土地の分配にとどまらず、それに携わる人々の生活水準や社会的地位に深くかかわるものであり、当時の律令制度全体の理解を進める上で欠かせない要素です。

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