位相差給電アンテナ

位相差給電アンテナは、複数のアンテナ素子を一定の間隔で配置し、それぞれの素子に位相差をつけて給電することで、特定の方向に電波を集中させる指向性アンテナの一種です。見た目からトンボアンテナとも呼ばれることがあります。

原理

位相差給電アンテナの原理は、複数のアンテナ素子を波長の1/nの間隔で配置することにあります。これにより、各素子から放射される電波の位相がずれ、特定の方向では電波が強め合い、それ以外の方向では弱め合うという現象が生じます。この位相差を利用して、鋭い指向性を持たせることができます。

原理的には、位相制御機能がないだけでフェーズドアレイ[[アンテナ]]と同じです。また、複数の給電点を持つことで、各素子からの電波が合成され、結果として高利得を実現します。位相差給電アンテナは、八木・宇田アンテナと似た外見を持つことがありますが、給電点の数などで区別することができます。

外見

位相差給電アンテナの外見は、ループアンテナを複数個組み合わせたものが一般的です。アンテナ素子の配置や形状は、使用する周波数や必要な指向特性に応じて様々に設計されます。

用途

位相差給電アンテナは、その指向性と高利得性から、様々な用途で利用されています。

FM受信: FMラジオ放送の受信アンテナとして、遠くの放送局からの電波を効率よく受信するために用いられます。
無線通信: アマチュア無線や業務用無線など、特定の方向との通信を効率的に行うために用いられます。
レーダー: イージスシステムに搭載されているAN/SPY-1|AN_SPY-1レーダーなど、高性能レーダーのアンテナとしても利用されています。これにより、遠距離の目標を正確に捉えることができます。
宇宙太陽光発電: 太陽光発電衛星から地上に電力を送るための送電アンテナとして、位相差給電アンテナの利用が検討されています。

関連項目

ZLスペシャル
八木・宇田アンテナ
* 超指向性

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