低侵襲手術

低侵襲手技とは

低侵襲手技（または低侵襲手術）は、外科手術において必要な切開のサイズを極力小さく抑えることを目指した技術です。これにより、患者さんの体の負担を減らし、様々なメリットをもたらします。

従来の手術では、大きく切開する開腹手術が一般的でした。しかし、開腹手術は創傷が大きくなりやすく、治癒に時間がかかり、痛みも伴うという課題がありました。そこで、医療技術の進歩とともに、より負担の少ない低侵襲手技が開発され、広く用いられるようになりました。

例えば、ステントグラフトによる動脈瘤修復は、小さな切開で済むため、患者さんの負担を大幅に軽減できます。

低侵襲手技の医療での応用

低侵襲手技は、放射線医学の分野で早くから導入されました。放射線科医が血管形成術やカテーテルを用いたステント挿入などの手技を開発したことが始まりです。

低侵襲手技では、カテーテルと呼ばれる細い管を体内に挿入し、内視鏡やモニターを通して手術部位を確認しながら治療を行います。これにより、従来は開腹手術が必要だった多くの症例で、体への負担が少ない治療が可能になりました。

低侵襲手技の利点

低侵襲手術は、従来の開腹手術と比較して、以下のような利点があります。

手術による体のダメージが少ない
合併症や副作用のリスクが低い
回復が早い
入院期間が短縮される、または外来での治療が可能になる

また、傷跡が小さく、術後の痛みが少ないため、患者さんの満足度が高い傾向にあります。これらの利点は、医療費の削減にもつながる可能性があります。

日本では、2015年頃から低侵襲手術である腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術の日帰り手術を行う施設が登場しました。これにより、「低侵襲手術＝腹腔鏡＝全身麻酔＝入院」という従来の考え方が変わり、MIDS（minimally invasive day surgery）という概念が確立されました。

低侵襲手技のリスク

低侵襲手技も、他の外科手術と同様に、以下のようなリスクが伴います。

出血
感染
臓器損傷
血栓塞栓症

手術を受ける際には、これらのリスクについて医師から十分な説明を受けることが重要です。

関連項目

麻酔
内視鏡手術
腹腔鏡手術
胸腔鏡手術
ロボット支援手術
生体医工学
分子イメージング
静脈穿刺

外部リンク

* 低侵襲心臓手術 - メドラインプラス医療百科事典

もう一度検索