低脂肪食

低脂肪食についての理解

低脂肪食は、脂肪特に飽和脂肪酸やコレステロールの摂取を抑える食事法です。この食事法の主な目的は、心血管疾患や肥満を予防し、健康を維持することです。脂質はカロリーが高く、1グラムあたり9キロカロリーを持つのに対し、炭水化物やタンパク質はそれぞれ4キロカロリーであるため、低脂肪食を選択することで相対的に多くの量を摂取できる利点があります。米国医学研究所（IOM）は、飽和脂肪酸の制限と肥満予防の観点から、食品全体のカロリーの35%までの脂肪摂取を推奨しています。

証拠と実績

大量の研究により、総脂質摂取量を減少させることがカロリー摂取を抑え、体重管理に寄与することが示されています。その結果、体重の減少や体重の増加を防ぐ効果が証明されています。効果は限定的であるものの、心疾患予防に関しては重要な意味を持ち、総カロリーの35%から40%の摂取量は総コレステロールやLDLコレステロールを10〜20%減少させることが分かっています。この効果の多くは、飽和脂肪酸の摂取量を減少させることによるものです。

研究の結果、2013年に行われたメタアナリシスでは、低脂肪食はコレステロールとLDLを減少させる効果が見られたものの、低カロリー食は同様の効果を示さなかったと報告されています。そのため、特定の食事方法（低脂肪食と高脂肪食）の明確な推奨が難しいと結論付けられています。

また、2019年に行なわれた複数の研究においては、糖尿病の管理を目的とした低脂肪食と低炭水化物食の比較がなされましたが、基本的には血糖の管理、体重、脂質に有意な差異は認められませんでした。ただし、低炭水化物食が一部の研究で有利な結果を示したこともあります。このように、様々な食事法がそれぞれの効果を持つことが示されています。

栄養学的観点

低脂肪食の発端は1977年に米国で発表された「食事目標」にさかのぼります。ここで、動物性脂肪の摂取を減少させる必要性が示され、飽和脂肪酸の制限に関する指針が作られました。しかし、栄養学者たちは、脂肪という概念を単純化し過ぎ、「脂肪は悪」とするメッセージを広めたことで、食品の選択に影響を及ぼしました。研究結果により、脂肪を30%に制限することが健康に良いとされる期待がありましたが、その後も低脂肪食が健康を改善するという明確な証拠は出ていないのが現状です。

従来の「脂肪は悪」という考え方は、過剰に単純化されたものであり、効果があるとは言えません。一方で、脂肪が40%を占める地中海食は心血管疾患のリスクが低いことが知られています。脂肪は大きく分類され、トランス脂肪酸や飽和脂肪酸はリスクを高める一方、魚やナッツに含まれる不飽和脂肪酸はリスクを低減すると考えられています。

2015年には、従来のグリース脂肪制限の基準が再評価され、「米国医師会雑誌」でも新たな指針が示され、30%という制約が撤廃されました。このように、低脂肪食の考え方は変化しており、食事に関するさらなる調査が必要となっています。

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