佐々木孝弘

佐々木孝弘について

佐々木孝弘（ささき たかひろ、1954年9月生まれ）は、日本におけるアメリカ社会史の第一人者であり、東京外国語大学で名誉教授の肩書きを持つ歴史学者です。彼の研究は、アメリカにおける社会や文化の歴史的変遷を深く掘り下げており、その専門性は学界内外で高く評価されています。

略歴

佐々木氏は1978年に東京大学教養学部にて教養学科を卒業しました。その後、アメリカに渡り、ノースカロライナ大学歴史学部の大学院に進学しました。1984年には同校を修士課程を修了し、1986年には博士課程の単位を取得し退学しました。

帰国後、東京都立医療技術短期大学で非常勤講師としてのキャリアをスタートさせ、その後、武蔵大学人文学部、千葉大学教養部と文学部、最後には東京外国語大学にて助教授、教授を歴任しました。2020年には東京外国語大学を定年退職し、名誉教授となりました。

研究業績

佐々木氏の研究は、特にアメリカの社会史における家族関係や権力構造の変化に焦点を当てています。彼の業績は多岐にわたり、以下のような論文が代表的です。

• - 「ノースカロライナ州の農場からコトン・ミルへ－移住に伴う家族内の権力関係の変化」（『アメリカ史研究』26、33-50、2003年）

この研究では、ノースカロライナでの農業から工業への移行が、移住した家族の内部でどのような権力関係の変化をもたらしたのかを考察しています。具体的には、移住による職業や生活スタイルの変化が家族内の役割分担や権限にどのように影響を及ぼしたのかに着目しています。

• - 「殺された少女とその家族の表象－メアリー・フェイガン殺害事件とレオ・フランクのリンチ事件再考（1913年-1915年）」（『クァドランテ』5、191-206、2003年）

この論文では、メアリー・フェイガンという少女の殺害事件を通じて、アメリカにおける人種的及び社会的差別がどのように表現されたのかについて考察しています。この事件は、当時のアメリカ社会における人種問題や犠牲者の家族への社会の関与を浮き彫りにしており、佐々木氏の鋭い分析が際立ちます。

これらの研究を通じて、佐々木孝弘氏はただ単に事実を記録するのではなく、アメリカ社会の複雑な歴史的背景に対する理解を深める努力をしています。また、彼の業績は、今後のアメリカ史研究や教育においても引き続き影響を与えることでしょう。

佐々木氏のキャリアは、教育者としての活動と研究者としての成果が密接に絡み合っています。学生たちへの授業を通じて、彼はアメリカ社会の歴史を身近に感じられるよう努めており、その全ての業務において学生や同僚からの信頼を得ています。

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