佐屋街道

佐屋街道の歴史と経路

概要

佐屋街道（さやかいどう）は、江戸時代において重要な交通路の一つで、東海道の迂回路として機能していました。具体的には、熱田宿と桑名宿を結び、陸路と水路を組み合わせた経路が特徴でした。佐屋宿、神守宿、万場宿、岩塚宿の四つの宿駅が設置され、宿間の移動も活発に行われました。

名古屋市を起点に、陸路を経て佐屋宿から水路で桑名に至る経路は、慶長6年（1601年）の伝馬制実施後に整備され、特に海路の七里の渡しが悪天候の影響を受けやすいため、佐屋路が多くの旅人に利用されることとなりました。

沿革

江戸時代の発展

江戸時代初期、佐屋街道は本来「七里の渡し」と呼ばれる海路が主要な交通手段とされていましたが、船の運行が天候に左右されるため、旅人たちは次第に陸路を選ぶようになりました。そこで、熱田から岩塚宿・万場宿・神守宿を経て佐屋宿に至る陸路が定着し、川船を利用して桑名宿へと移動するルートが確立されました。この経路は全体で9里（およそ36km）となり、海路に比べて距離が長いという欠点がありましたが、安全性を求める多くの旅人によって利用され続けました。

佐屋路の設立

寛永11年（1634年）、佐屋街道が官公の通行路として正式に設けられ、尾張藩初代藩主・徳川義直の支持を受けながら、さらなる整備が進められました。この街道は月ごとに10日に一度の頻度で人馬継立が行われ、効率的な旅路を支えるための体制が整いました。宿駅ごとの伝馬役についても、各宿の負担に応じた人数や馬数が定められました。

幕末から明治への変遷

幕末になると、政治的な背景から将軍の上洛が繰り返され、佐屋街道は重要なルートとなっていきました。しかし、明治時代に入ると、新たに定められた新東海道の影響で交通量が分散し、佐屋街道の役割は次第に薄れていきました。1872年には新東海道が設けられ、佐屋街道はその歴史に幕を下ろしました。

交通制度

伝馬制度と宿駅

佐屋街道の交通制度は、伝馬役によって支えられていました。宿駅での人馬提供は重要な任務であり、各宿の住民が自らの負担で人や馬を用意していました。例えば、佐屋宿では42疋の馬が常備され、交換のための人馬継立が行われました。

宿駅では本陣や脇本陣が設けられ、旅人がスムーズに移動できるよう配慮されていました。また、正徳元年（1711年）には御定賃銭が設定され、その基準が明確に規定されました。これにより、旅人は安定した料金で人馬を利用できるようになりました。

地域の名残

佐屋街道の痕跡は、現在でも地域に残っています。例えば、佐屋宿跡や道標、渡し場の遺構などがその証拠とされており、街道の歴史を感じることができる場所となっています。日常の中で忘れ去られがちな歴史の一部を実感することで、今後の地域への理解と関心が深まることが期待されます。

結論

佐屋街道は、ただの交通路に留まらず、江戸時代の人々の生活や文化を物語る重要な存在でした。旅行の形態や交通制度が変化する中で、今後もその歴史を学び続け、その存在を大切にしていくことが必要です。

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