佐治薫子

佐治 薫子

佐治 薫子（さじ しげこ）は、1935年生まれの日本の音楽教育者です。長年にわたり小中学校の教壇に立ち、児童や生徒たちによるオーケストラの指導に情熱を注ぎました。特に、赴任した全ての学校で子供たちを全国レベルへと引き上げ、数々のコンクールで輝かしい成績を収めたことで知られています。教員退職後も、後進の育成に尽力しており、現在は千葉県少年少女オーケストラの音楽監督を務めるとともに、公益財団法人千葉県文化振興財団の特別参与として活動しています。

音楽教育者としての功績

佐治氏は約40年間の教員生活を通じて、音楽教育の分野で特筆すべき功績を残しました。赴任した学校で指導したオーケストラや合奏は、TBSこども音楽コンクールやNHK全国合奏コンクールといった権威ある大会で、実に40回以上にわたる全国優勝を達成しました。これは、携わった全ての学校で文部大臣奨励賞（当時）や文部科学大臣奨励賞を受賞し、「日本一」の評価を得たことを意味します。こうした指導を通じて、千葉県の小中学校におけるオーケストラ活動のレベルを飛躍的に向上させ、全国にその名を知らしめました。

経歴と活動

1935年に千葉県木更津市に生まれた佐治氏は、千葉大学教育学部音楽科で学び、1956年に卒業しました。同年、君津市立松丘中学校に着任し、音楽教員としてのキャリアをスタートさせました。早くもこの時期に、指導したリード合奏がTBSこども音楽コンクールで文部大臣奨励賞を受賞し、その指導力の高さを示しました。

1966年には船橋市立前原小学校へ転任。ここでは、当時としてはまだ珍しかった小学生のオーケストラ指導に取り組み、ここでもTBSこども音楽コンクールで文部大臣奨励賞を受賞しました。小学生の段階から本格的なオーケストラ活動を導入したことは、その後の多くの学校に影響を与えたと言えます。

1976年に習志野市立谷津小学校へ移ると、同校にも小学生オーケストラ部を新たに創設しました。ここでも才能を開花させ、TBSこども音楽コンクールで文部大臣奨励賞を獲得しています。

1984年には市川市立鬼高小学校へ転任し、同様に小学生オーケストラ部を立ち上げました。ここでも児童たちの演奏は見事に磨かれ、TBSこども音楽コンクールで文部大臣奨励賞を受賞するなど、赴任する全ての学校で傑出した成果を上げ続けました。

1992年には再び習志野市立谷津小学校に戻り、この頃には佐治氏の指導するオーケストラ活動への理解と支援が深まり、習志野市からオーケストラ部専用の音楽堂が寄贈されるという画期的な出来事もありました。

1996年に教員を退職した後も、音楽教育への情熱は衰えることなく、千葉県少年少女オーケストラの音楽監督に就任しました。ここでは、県内のより広い範囲から集まる子供たちを対象に、引き続き質の高い音楽指導を行っています。

受賞歴

長年の功績に対し、佐治氏には数多くの賞が贈られています。主なものとして、以下が挙げられます。

サントリー地域文化賞（1988年）
千葉県教育功労賞（1989年）
市川市民栄誉賞（1992年）
国際ソロプチミスト賞（1993年）
習志野市教育文化功労表彰（1994年）
国際ソロプチミスト社会貢献賞（1995年）
習志野市市政功労賞（1996年）
キワニスクラブ教育文化奨励賞（1997年）
千葉県文化功労表彰（1997年）
NHK関東甲信越地域放送文化賞（2005年）
音楽教育功労賞（2008年）

メディア出演

その活動は多くの人々に感銘を与え、様々なメディアでも紹介されています。

「ひびけ！わたしたちのシンフォニー」（千葉テレビ、1997年）
「にんげんドキュメント〜がんこ先生とぼくらのハーモニー〜」（NHK、2006年、2009年再放送）
「佐藤しのぶ出逢いのハーモニー」（千葉テレビ、2007年、2010年再放送）
「どみれふぁワンダーランド」（NHK-BS2、2009年）
題名のない音楽会「83歳の指導者と少年少女オーケストラの音楽会」（テレビ朝日、2019年）

参考文献

佐治氏の音楽教育に関する活動は、以下の書籍でも取り上げられています。

森玲子『バッハ先生と1000人の子どもたち』（二期出版、1987年）
森玲子『ひろがれ、ぼくらのハーモニー』（講談社、1991年）

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