佐竹氏義

佐竹氏義：山入の乱に散った武将

佐竹氏義は、戦国時代（室町時代後期）に常陸国で勢力を有した佐竹氏の一族、山入氏の武将です。父は佐竹義藤。

生涯

山入氏は、常陸守護である佐竹宗家と代々対立していました。父・義藤の時代には、宗家当主の義舜を太田城から追放するなど、優位に立っていました。しかし、明応元年（1492年）に義藤が病死すると、岩城氏の仲介により宗家との和睦の機運が生まれました。

明応2年（1493年）には、同じく宗家に反発していた佐竹氏庶流の長倉義久が義舜に攻められて降伏。さらに、岩城氏の家老であった岡本妙誉の策略により、氏義と協力関係にあった江戸通雅・小野崎親通らが離反するなど、山入氏は勢いを失っていきました。

しかし、氏義はあくまで義舜との対決姿勢を崩さず、和睦の条件であった太田城の返還を拒否。明応9年（1500年）には、孫根城にいた義舜を金砂城へと追い込み、さらに金砂城を攻撃しました。この戦いで氏義は義舜を自害寸前まで追い詰めるものの、天候の急変に乗じた義舜の反撃により、山入勢は打ち破られ敗退しました。

その後、岳父である岩城常隆の後援を得た義舜が勢力を盛り返す一方で、氏義は劣勢となり、徐々に本拠地の太田城へと追い詰められていきました。

永正元年（1504年）、ついに義舜は山入氏を滅ぼすべく太田城に攻め込みました。籠城戦の末、太田城は陥落し、氏義と子の義盛は山入氏庶流の小田野義正に捕らえられたと伝えられています。氏義らは下野茂木で斬首され、高祖父与義の代から5代約90年にわたって続いた山入の乱は終結を迎えました。

山入氏は滅亡しましたが、小田野氏・高柿氏・国安氏などの庶流は生き残り、佐竹宗家の家臣として存続しました。

佐竹氏義は、宗家との対立に生涯を捧げ、山入氏の滅亡という悲劇的な結末を迎えた武将でした。

参考文献

* 冨山章一『奥七郡から出発: 茨城・常陸佐竹氏の軌跡』学研プラス、2017年

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