佐藤友美 (演芸評論家)

佐藤友美：演芸界を彩る評論家

佐藤友美氏は、1972年東京都渋谷区恵比寿生まれの演芸評論家です。恵比寿で生まれ育ち、現在も同地を拠点に活動しています。東京都立駒場高等学校、明治大学文学部仏文学科を卒業。祖母が浅草国際劇場近辺で旅館を営んでいたこともあり、幼少期から古典芸能に囲まれた環境で育ちました。日本舞踊では「西川扇丸」の名取名を持つなど、深い伝統芸能への造詣を有しています。

演芸、とりわけ寄席や落語への関心のきっかけは、雑誌のコラムだったと言われています。マガジンハウスの入社試験に不合格となった後、1994年に演芸専門誌『東京かわら版』のアルバイト募集に応募。これが佐藤氏の演芸界におけるキャリアの始まりです。当初はアルバイトとして5年間勤務した後、正社員となりました。

『東京かわら版』在籍中は、「演芸界若手の星」という連載で、若手落語家へのインタビューを5年間担当しました。2004年11月号からは、同誌の三代目編集人を務め、現在に至ります。編集人としての佐藤氏は、かつての読者だった自身の視点と経験を活かし、より多くの読者に演芸の魅力を伝えようと尽力しています。誌面の刷新にも取り組み、表紙カラー化や、有名人によるエッセイの掲載など、斬新な企画を多数実行。演芸マニアだけでなく、より広い層の読者獲得に成功しました。

編集業務は『東京かわら版』誌面だけにとどまりません。同社発行の書籍や落語会パンフレットの編集、演芸ソフトのライナーノーツ執筆など、多岐にわたる活動を行っています。国立演芸場専門委員や文化庁芸術祭大衆芸能部門審査員、文化庁芸術選奨推薦委員などを歴任。さらに、読売新聞やしんぶん赤旗で寄席評を執筆するなど、その活動は多方面に広がっています。

長年の経験から培われた、芸人への温かいまなざしは、演芸関係者からの厚い信頼に繋がっています。落語家・神田松之丞氏（当時）からは、ラジオ番組で「美人編集長」と紹介されるほどでした。

佐藤氏の趣味は、現代美術のコレクションやコンテンポラリーダンス鑑賞。夫は現代美術コレクターであり美術館ボランティアとして知られる東孝彦氏。一男一女の母でもあります。

これまでに多くの書籍の編集や執筆にも携わっており、『ふらりと寄席に行ってみよう』などの著書や、『落語ワンダーランド』シリーズの編集協力など、数多くの実績があります。メディア出演も多く、文化放送やラジオ日本、NHKなどの番組にゲスト出演するなど、その活躍は多方面に広がっています。

佐藤友美氏は、単なる編集者や評論家という枠を超え、演芸文化の普及・発展に大きく貢献している、まさに演芸界のキーパーソンと言えるでしょう。その活動は、これからも多くの人の心に演芸の楽しさを届けていくことでしょう。

もう一度検索