佐藤宏孝

佐藤宏孝（さとう ひろたか）

日本の数学者。代数的整数論を専門分野とし、主に東京外国語大学において教育および研究活動を行った。1953年3月に生まれた。

略歴

1976年3月、東京大学理学部を卒業し、数学分野における高度な学識を修めた。その後、さらなる専門性の探求のため大学院に進学。1980年3月には千葉大学大学院理学研究科数学専攻の修士課程を修了した。研究者としての深化を目指し、筑波大学大学院理学研究科数学専攻の博士課程に進んだものの、1984年3月に同課程を退学している。

大学院での学びを終えた翌月、1984年4月から教育者の道を歩み始めた。東京外国語大学に設けられていた外国人留学生のための教育機関、外国語学部附属日本語学校にて講師として着任し、留学生に対する日本語教育の現場に立った。

1987年7月には、東京外国語大学内の留学生教材開発センターへ配置換えとなり、同時に助教授へ昇任した。ここでは、留学生が学ぶ上で必要となる様々な教育用教材の開発や整備に尽力した。

その後の組織再編を経て、1992年4月には留学生日本語教育センターへと所属が変更された。引き続き助教授として、留学生向けの高度な日本語教育プログラムや、専門分野を学ぶための基礎的な学力養成に深く関わった。長年にわたり、教育現場の最前線で多くの留学生の学修をサポートした。

2015年4月には、東京外国語大学の機構改革に伴い設置された国際日本学研究院へ配置換えとなり、准教授として教育研究活動を継続した。国際的な視点からの日本研究教育を推進するこの研究院において、これまでの豊富な経験を活かした。

そして、2016年3月、長年にわたる教育・研究への貢献を終え、東京外国語大学を定年により退職した。

主な研究活動

佐藤氏の専門分野は代数的整数論であるが、そのキャリアの大部分を東京外国語大学で過ごした経験から、外国人留学生教育に焦点を当てた実践的かつ応用的な研究にも積極的に取り組んだ。

代表的な研究業績としては、以下のようなものが挙げられる。

数学における専門日本語語彙の分類（『専門日本語教育研究』第7号, 13-20, 2005年）
この研究は、数学分野を日本語で学習する際に留学生が直面する専門用語の理解に関する困難に対応するため、数学における専門語彙を体系的に整理し分類を試みたものである。これは、専門分野の知識と日本語教育の視点を融合させた実践的な研究成果と言える。
学部留学生に対する数学教育について（シンポジウム「留学一年目の教育のあり方」講演集, 25-33, 2003年）
日本の大学に入学した外国人学部留学生が、専門分野の基礎となる数学を学ぶ上で直面する課題や、効果的な教育手法について考察した報告。留学生が円滑に専門学習へ移行するための教育的支援のあり方に関する提言が含まれている。
* 脳循環予備能と安静時平均通過時間の関係（『CI研究』第24巻第2号, 73-82, 杏林舎, 2002年）
自身の主要な専門分野である数学とは異なる、医学・生理学に関連する分野での研究業績である。これは、異分野の研究チームとの共同研究によるものである可能性を示唆しており、佐藤氏の研究活動の幅広さを示している。

佐藤宏孝氏は、数学者としての深い専門知識を基盤に、特に外国人留学生に対する教育に情熱を注ぎ、その専門分野の教育と日本語教育を結びつける実践的な研究を通じて、日本の国際教育の質向上に貢献した人物である。

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