佐藤春夫記念館

佐藤春夫記念館

佐藤春夫記念館（さとうはるおきねんかん）は和歌山県新宮市に位置する市立の文学館で、作家佐藤春夫の業績や作品を紹介しています。この記念館は1989年（平成元年）11月に熊野速玉大社境内にて開館しましたが、老朽化や収蔵スペースの不足が問題となり、2024年4月から休館することが決まりました。新たに国登録有形文化財である旧チャップマン邸の隣接地への移転が行われ、2026年度（令和8年度）には新館がオープンする予定です。

概要

この記念館は、東京都文京区に位置した佐藤春夫の旧宅を熊野速玉大社境内の一角に移築し、復元したものです。約35年の間、この施設で文学が愛されてきましたが、さまざまな劣化現象が発生し、特に雨漏りが目立つようになりました。そのため、佐藤の誕生日に合わせて2024年4月9日までの営業を行い、一時休館に入ります。

新館は、旧館と比べて延べ床面積が約300平方メートルに増加する予定です。移転にあたっては、従来の外観や内装をできるだけ残しつつ、再利用可能な部材を活用する計画です。

主な展示品

記念館内では、佐藤春夫の肉声による詩朗読を聴くことができ、代表作である「ためいき」や「秋刀魚の歌」、「少年の日」、「望郷五月歌」などが披露されています。また、小説や随筆、翻訳の初版本、さらに佐藤春夫自身の絵画作品や愛用していた絵具箱、絵筆も展示されています。谷崎潤一郎との連名での挨拶状や、さまざまな著名人からの直筆寄書も記念館の貴重な資料の一部です。

また、過去の展示には八角塔の書斎があり、門弟代表からの1965年のメッセージも残されています。これらの展示品は、佐藤春夫の文学を深く理解する一助となるでしょう。

建築概要

移築された佐藤春夫の旧宅は、木造2階建ての洋館で、延べ床面積は232平方メートルです。建物のみならず、アーチ型の門や塀、石畳のアプローチ、さらに庭に植えられたマロニエまでもが忠実に復元されています。設計者は文化学院の創設者である西村伊作の弟、大石七分です。元々1927年に構築されたこの建物は、歴史的価値を持つ重要な文化財とも言えます。

周辺情報

記念館周辺には、浮島の森や西村記念館など、他の文化施設も点在しており、訪れる人々にとって魅力的な観光ルートを形成しています。最寄りの交通機関として、JR紀勢線の新宮駅から徒歩15分ほどでアクセス可能です。

関連項目

さらに、佐藤春夫記念館は芦屋市にある谷崎潤一郎記念館と姉妹として繋がっていることも興味深い点です。

このように、佐藤春夫記念館はただの文学館であるだけでなく、文学や文化の理解を深めるための大切な場として、今後の新しい姿に期待が寄せられています。

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