佐藤記念美術館

富山市佐藤記念美術館：歴史と文化が息づく富山城址公園の至宝

概要

富山市佐藤記念美術館は、富山県富山市の中心部、歴史深い富山城址公園に位置する公立美術館です。富山市が所有し、隣接する富山市郷土博物館と一体運営されています。全国美術館会議や富山県博物館協会にも加盟しており、地域文化の振興に貢献しています。

歴史：企業と地域社会の絆

美術館の起源は、地元財界をリードした佐藤家（佐藤工業の祖先筋にあたる）の尽力に深く関わっています。佐藤工業創業100周年を記念し、1957年（昭和32年）に財団法人佐藤美術館が設立されました。

1961年（昭和36年）、富山城址に天守閣を思わせる3階建ての建物が竣工。佐藤美術館が開館し、同時に佐藤工業創立100年祭が盛大に開催されました。開館当初から、佐藤家の旧宅の一部であった貴重な書院や茶室が移築され、美術館の重要な構成要素となっています。

その後、館名や法人名を変更しながら、1990年代には新館を増築。展示面積を拡大し、充実したコレクションを展示できる体制を整えました。

しかし、1990年代後半からの経済状況の変化により、財団の運営は困難を極めることに。2001年（平成13年）には財団が解散し、建物や収蔵品は富山市に寄贈されました。一時休館を経て、2002年（平成14年）4月、富山市佐藤記念美術館として再出発を遂げました。

展示内容：珠玉のコレクション

美術館の収蔵品は、佐藤家からの寄贈が中心です。茶道具、古陶磁器、日本画、墨蹟など、千点以上にも及ぶ多様なコレクションは、日本の美術史を理解する上で貴重な資料となっています。

特に、岸駒と岸岱親子による作品群とその関連資料は、美術館の重要な特色の一つです。これらを中心に構成された企画展も過去に開催されており、美術史研究にも貢献しています。

施設：歴史と現代が調和する空間

美術館の建物は、鉄筋コンクリート造（一部鉄骨鉄筋コンクリート造）の地上2階建て。落ち着いた雰囲気の中で、歴史を感じさせる書院や茶室が、現代的な展示室と調和しています。

1階には受付、ロビー、展示室、講堂、そして移築された茶室「助庵」があります。「助庵」は、佐藤助九郎の生家に建てられた茶室で、昭和初期の建築様式を伝えています。

2階には、展示コーナー、15畳と12.5畳の広さを誇る書院、そしてもう一つの移築茶室「柳汀庵」があります。この書院は、総ヒノキ造りの美しい建築で、欄間には井波彫刻の彫師、大島五雲による精緻な彫刻が施されています。「柳汀庵」は、加賀藩家老の屋敷から移築されたもので、歴史の重みを感じさせる空間です。茶庭も併設され、静寂の中で茶の湯の世界観を味わえます。

アクセス：便利な立地

美術館は富山城址公園内にあり、公共交通機関を利用して容易にアクセスできます。富山地方鉄道富山軌道線、富山地方鉄道バス、そして市内周遊バスなど、複数の路線が利用可能です。

まとめ：富山観光の新たな魅力

富山市佐藤記念美術館は、歴史的建造物と貴重な美術コレクション、そして豊かな自然環境が調和した、魅力的な美術館です。富山を訪れた際には、ぜひ足を運んで、歴史と文化に触れてみてください。

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