佐谷秀行

佐谷 秀行 (Hideyuki Saya)

佐谷秀行氏は、日本における医学研究者として著名であり、特にがん幹細胞の研究において第一人者とされている。2024年現在、藤田医科大学腫瘍研究センターのセンター長を務めており、そのキャリアにおいて数々の研究機関で重要な職務を歴任してきた。

学歴と職歴

佐谷氏は1981年に神戸大学医学部を卒業し、1987年に神戸大学大学院医学研究科を修了した。その後、医学博士の学位を取得し、医学の知識を深めていく。臨床経験としては、神戸大学医学部脳神経外科で医師としてのキャリアをスタートさせた。その後、カリフォルニア大学サンフランシスコ校で神経腫瘍の研究に従事し、1988年にはテキサス大学M.D.アンダーソンがんセンターで助教授として勤務した。この国際的な経験を経て、熊本大学大学院医学薬学研究部の腫瘍医学分野の教授となり、2007年には慶應義塾大学医学部先端医科学研究所での教授職を得た。

研究成果

がん幹細胞研究

佐谷氏が特に注力している研究領域の一つに、がんの再発や転移の要因である「がん幹細胞」がある。この研究を通じて、がん治療における新たなアプローチを提案しており、細胞接着分子であるCD44のバリアントである「CD44v」が、がん幹細胞の耐性に関与していることを解明した。これにより、治療耐性を克服するための新しい治療法が示唆されている。

ドラッグリポジショニング

また、佐谷氏は「ドラッグリポジショニング」にも注力しており、既存の薬剤に新たな用途を見つけ出す研究を推進している。例えば、潰瘍性大腸炎やリウマチの治療に使われる「スルファサラジン」ががん幹細胞に対しても効果的であることを発見し、その成果を基に臨床試験を実施している。

受賞歴と理念

研究に対する貢献が評価され、佐谷氏は2020年に吉田富三賞を受賞した。また、彼は基礎研究と臨床研究を結びつける「トランスレーショナル研究」の重要性を強調しており、若手研究者に対して明確な研究の目標、一貫した価値観を持つことの重要性を伝えている。

外科医としての経験

外科医から研究者への転身は、悪性脳腫瘍の再発に直面した経験によるものであり、これを通じて外科的治療の限界を感じ、基礎研究の道を選んだとされる。1990年代後半にがん幹細胞が注目されるようになると、彼はがん治療の新たなパラダイムシフトを目指す研究に携わり始めた。

チーム作りとリーダーシップ

M.D.アンダーソンがんセンターでの経験を生かし、佐谷氏は自身の研究チームの作成に力を注いでいる。彼は、そのチームを「世界で最も先進的ながん研究チーム」とする目標を掲げ、各研究者の個性と価値観を尊重しながら運営を行っている。これにより、研究環境はより協力的かつ生産的になるとされている。

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関連項目

• - がん幹細胞
• - CD44
• - トランスレーショナル研究

外部リンク

• - 慶應義塾大学 医学部公式サイト
• - 藤田医科大学 腫瘍研究センター公式サイト

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