佐賀元明

佐賀元明：証拠改ざん事件で有罪判決を受けた元検察官

佐賀元明は、かつて大阪地方検察庁特別捜査部副部長や神戸地方検察庁特別刑事部長などの要職を歴任した、日本の元検察官です。しかし、大阪地検特捜部主任[[検事証拠改ざん事件]]において、当時の上司であった元部長・大坪弘道、部下であった元検事・前田恒彦とともに逮捕・起訴され、その経歴に大きな傷跡を残しました。

検察官としての経歴

専修大学を卒業後、1986年に旧司法試験に合格した佐賀は、司法修習を経て1989年に検事に任官しました。同期には、元東京地検検事の落合洋司などがいます。検事任官後も、母校である専修大学の後輩たちの司法試験勉強を支援するため、辰巳法律研究所の指導を斡旋するなどしていました。

奈良県立医科大学の医師派遣をめぐる汚職事件では主任検事を務め、贈収賄罪で教授らが有罪となった裁判を主導し、検察内部でその名を高めました。この時、部下として共に捜査に当たったのが、後に証拠改ざん事件で共に逮捕される前田恒彦でした。

2004年から2007年までの間、最高裁判所司法研修所教官と法務省新司法試験考査委員（刑事訴訟法）を兼任し、後進の育成にも尽力しました。2007年からは大阪地検岸和田支部長を務め、2009年4月には、名古屋地検特捜部長に転出した田中素子の後任として、大阪地検特捜部副部長に就任。特捜部長の大坪弘道のもとで、障害者団体向け割引郵便制度悪用事件などを担当しました。その後、2010年には神戸地方検察庁特別刑事部長に就任しています。

大阪地検特捜部主任[[検事証拠改ざん事件]]

佐賀の経歴を語る上で避けて通れないのが、大阪地検特捜部主任[[検事証拠改ざん事件]]です。部下であった前田恒彦が証拠隠滅の罪で逮捕されたことをきっかけに、佐賀自身も2010年10月1日に犯人蔵匿の疑いで逮捕されました。これは、前田が故意に証拠の改ざんを行ったことを知りながら、それを隠したというものでした。

逮捕後、佐賀は一貫して容疑を否認。弁護団を結成し、徹底抗戦の構えを見せました。しかし、大阪地方裁判所は勾留延長を決定。自宅や神戸地検の特別刑事部長室の捜索も行われました。その後、柳田稔法務大臣から懲戒免職の処分が発令されています。

2012年3月30日、大阪地裁は佐賀に対し、懲役1年6月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。佐賀はこの判決を不服として控訴しましたが、2013年9月25日、大阪高裁は佐賀の控訴を棄却する判決を下しました。

人物像

佐賀は、温厚な性格で知られ、司法修習生からは面倒見の良い教官として慕われていました。しかしその一方で、強引な捜査手法を強行する一面もあったと報じられています。ストーリーを描くと無理で強引な調べを強行することで知られ、傲慢不遜な人柄から「策士」と呼ばれていた、との報道もあります。

著作

『暴力・麻薬係検事は今--高松地検における暴力・麻薬係検事の指名を受けて』研修. (通号 576) [1996.06]

関連書籍

朝日新聞取材班「証拠改竄 特捜検事の犯罪」 (朝日文庫) [2013.8]
村木厚子「私は負けない「郵便不正事件」はこうして作られた」（中央公論新社 ）[2013.10]
弘中惇一郎「無罪請負人刑事弁護とは何か?」 (角川oneテーマ21) [2014.4]

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