佐賀県道・長崎県道106号嬉野川棚線

佐賀県道・長崎県道106号嬉野川棚線

佐賀県嬉野市と長崎県東彼杵郡川棚町を結ぶ一般県道ですが、全線が開通しておらず、一部区間は通行不能となっています。そのため、起点の嬉野市側、終点の川棚町側にはそれぞれ「川棚までは開通していません！」「嬉野まで行けません」といった注意書きが掲示されています。

未開通区間と迂回路

未開通区間には林道が通じており、この林道を経由することで、嬉野 - 川棚間の移動は可能です。県道自体は分断されていますが、迂回路によって両地域間の交通が確保されています。

佐賀県嬉野市内の状況

嬉野市内では、全線が大字不動山を通過します。この地域は古くから茶栽培が盛んで、塩田川沿いに集落が点在していました。そのため、道路交通も早くから整備されています。沿線には虚空蔵山登山口や、国の天然記念物である「嬉野の大チャノキ」があり、観光客や登山客が多く訪れます。

長崎県川棚町内の状況

川棚町内では、1970年代に石木ダム建設計画が持ち上がり、地元住民の反対運動によって開発が停滞していました。佐賀県側は早くから県道に指定していましたが、長崎県が県道に指定したのは1990年代です。川棚町内では、川棚川支流の石木川に沿って、ほぼ1車線の道路が続きます。離合が難しい区間には、棚田百選にも選ばれている日向棚田があります。石木ダム建設によって水没する予定の区間であるため、県は道路整備を進めていません。代替道路の建設も地元に提示されていますが、ダム建設反対運動の影響で、事業は進んでいません。石木川下流に達すると2車線に拡張され、沿線には採石場があるため、大型トラックの通行が多くなります。また、石木小学校の上流部には、ダム立ち退き者向けの代替住宅が整備されています。

道路の状況

平野橋で国道34号と分岐した県道は、塩田川の谷筋に沿って県境を目指します。麓の平野地区では2車線と1.5車線が頻繁に変わります。中流域の大舟地区からは2車線道路となり、茶畑の麓を進みます。馬場地区で塩田川を渡り、山登りのルートに入ります。2車線区間は虚空蔵山登山口・茶の木入口まで続き、最上段の集落となる牛ノ岳まで路線バスが設定されています。集落を過ぎると、カーブの多い1車線道路となり、茶畑と山林の中を縫うように進みます。県境を越える木場不動山線は2000年に開通しましたが、これは県道の整備事業とは別のルートです。同時期に全通した広域林道虚空蔵線と合流し、虚空蔵線を介して長崎県側の終点に移動できます。虚空蔵線の沿道にある虚空蔵山西登山口付近から下り道に入り、県道に至ります。

石木ダム問題

川棚町内の川原地区は、佐世保市南部の慢性的な水不足を解消するための石木ダム建設予定地となっています。しかし、反対運動が行われているため、ダム建設は着工のめどが立っていません。石木ダム建設に伴う県道の付け替え工事も、暗礁に乗り上げている状況です。

路線データ

起点：佐賀県嬉野市嬉野町大字不動山甲（国道34号交点）
終点：長崎県東彼杵郡川棚町石木郷（長崎県道・佐賀県道4号川棚有田線交点）

通過する自治体

佐賀県：嬉野市
長崎県：東彼杵郡川棚町

沿線

虚空蔵山
嬉野の大チャノキ
川棚町立石木小学校

関連事項

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