佐野一馬

佐野 一馬（さの かずま）

日本のゲーム業界で活動する著名なシナリオライターおよびゲームデザイナー。埼玉県出身、誕生日は11月19日。かつてはゲーム開発会社、有限会社スタジオポラリスの代表取締役社長を務め、また同人活動ではガレージキットディーラー「肉男爵倶楽部」を主宰するなど、多岐にわたる顔を持つクリエイターである。

ゲーム業界への第一歩は、グラフィックデザイナーとして呉ソフトウェア工房に入社したことから始まった。しかし、次第にゲームを構成する物語、すなわちシナリオへの強い関心を抱くようになる。この興味を追求するため、ストーリーテリングに定評があった有限会社グローディアへと籍を移し、本格的にシナリオライターとしてのキャリアをスタートさせた。グローディア在籍中は、シナリオ執筆とゲームデザインの両面から同社の後期の作品群に深く関与し、クリエイターとしての礎を築いた。

グローディアを離れた後、独立の道を歩み、1995年には有限会社スタジオポラリスを設立した。設立当初は主に他社のゲーム開発の下請け業務を手がけながら、自社ブランド「まんほーる」を立ち上げる準備を進めた。そして2000年、このブランドから初の自社タイトルとなるアクションゲーム『GUN GRAVE』を発表した。

佐野氏の作風は、長年RPGやシミュレーションゲームの制作に携わってきた経験が色濃く反映されている。このため、アドベンチャーゲームを手がける際にも、単純な選択肢の分岐に留まらない、幾層にも重なる複雑で緻密なシナリオ構造を構築する傾向が見られる。物語の深掘りやキャラクターの内面描写に力を入れた作品が多い。また、アダルトゲームのシナリオにおいては、特定の部位に対して独自の、時にユーモラスとも取れるユニークな比喩表現や隠語を用いることも、その特徴の一つとして挙げられる。

スタジオポラリスは2001年に解散したが、佐野氏自身はその後もフリーランスのシナリオライターとして活動を継続。一般向けのゲームからアダルトゲームまで、幅広いジャンルの作品に参加している。主な参加作品としては、グローディア時代の『ヴェインドリームⅡ』、『ラグナレック』といった一般ゲームや、スタジオポラリス時代の『GUN GRAVE』、さらにはフリー転向後に携わった多数のアダルトゲーム（『猟奇の檻』シリーズ、『SeptemCharm まじかるカナン』、『淫妖蟲 悦』、『りとるらびっつ』など、別名義での参加もある）が挙げられる。特にアダルトゲームの分野では膨大な数の作品に関わっており、その活動範囲の広さが伺える。

ゲームシナリオの執筆以外にも、作家として活動しており、小説や漫画の原作も手がけている。また、ゲームクリエイターとしての知見を活かし、『ゲーム作りの発想法と企画書の作り方』といった専門書の執筆も行うなど、表現者として多様な媒体で活動している。

現在もシナリオライターとしての活動を続けつつ、主宰する同人サークル「肉男爵倶楽部」での活動も継続しており、ゲームファンや一部の同人界隈でその名を知られている。

参考文献：
各種ゲーム作品クレジット
著書『ゲーム作りの発想法と企画書の作り方』

関連リンク：
佐野一馬＠ＷＦ６-１８-０６ (@kazuma_sano) - X（旧Twitter）
佐野一馬の週刊「肉男爵倶楽部」

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