体験版

体験版：ソフトウェアを体験し、購入を促すための試用版

体験版とは、主にパソコンや家庭用ゲーム機のソフトウェア、特にゲームソフトにおいて、ユーザーが製品版を購入する前にソフトウェアの機能や使い心地を試せるように提供されるものです。製品版の購入を促進する役割を担いつつ、ユーザーは実際にソフトウェアを操作することで、自身のコンピュータで問題なく動作するか、求める機能が備わっているかを事前に確認できます。

機能・期間制限版

多くの体験版は、製品版をベースに何らかの制限を加えたバージョンです。制限の種類は多岐に渡り、複数の制限が組み合わされている場合もあります。代表的な制限としては、以下のものが挙げられます。

データ出力制限: 保存や印刷などのデータ出力ができない。
透かし文字: 体験版であることを示す透かし文字（「SAMPLE」「DEMO」など）が画像などに表示され、無断転載を防ぐ。
使用期間・起動回数制限: 使用期間や起動回数が制限され、それを超えると使用できなくなる。
プレイ時間・範囲制限: ゲームの場合、プレイ時間や到達範囲が制限される。
機能制限: 一部の機能が使用できない。
購入促進メッセージ: 製品版の購入を促すメッセージが表示される。
データ更新の制限: 最新のデータが提供されない。
ユーザーサポートの制限: ユーザーサポートが受けられない。

中には、製品版に体験版の機能が組み込まれており、料金を支払うことで制限を解除できるものもあります。この場合、「体験版」と「製品版」の区別は形式的なものとなり、ソフトウェアの再インストールの手間が省かれます。

不完全版

体験版は必ずしも完成した製品とは限りません。開発中のアルファ版やベータ版を体験版として提供するケースもあり、操作性の悪さ、機能不足、不正確な結果、コンピュータの動作不良など、問題点を含む場合があります。メーカーはこれらの問題点を収集・分析し、製品版の品質向上に役立てます。

有料体験版

ほとんどの体験版は無料ですが、製品版より安価な料金で提供される「有料体験版」も存在します。PCゲームではメーカーのウェブサイトで公開されることが多いですが、ゲーム[[雑誌]]の付録として提供されるケースもあります。有料体験版は、不完全版であることが多く、動作や不具合に関して保証がないのが一般的です。

頒布形態

体験版の配布方法は時代とともに変化しています。1980年代後半には、雑誌の付録や店頭配布が主流でした。1990年代以降は、ブロードバンドインターネットの普及に伴い、メーカーのウェブサイトからのダウンロードが一般的になりました。

家庭用ゲーム機における体験版

家庭用ゲーム機においては、かつては製造コストの高いロムカセット方式が主流だったため、体験版の配布は困難でした。CD-ROM方式の普及によって、体験版の配布が容易になり、積極的に行われるようになりました。近年では、携帯型ゲーム機や据え置き型ゲーム機において、店頭でのダウンロードやインターネット経由でのダウンロードが一般的となっています。また、公式ホームページでブラウザ上で体験版をプレイできる「Web体験版」も提供されることがあります。

その他

体験版の終了時には、ゲーム中の登場人物がメタフィクション的にそのことを述べたり、「製品版をお楽しみください」といったメッセージが表示されることもあります。

まとめ

体験版は、ユーザーにソフトウェアを試用してもらい、製品版の購入を促進するための有効な手段です。その形態は時代や技術革新とともに変化を続けており、今後も様々な形態の体験版が登場することが予想されます。

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